5500円もするシャーペン、なぜ即完売? 三菱鉛筆「クルトガダイブ」の画期性:2023年、話題になった「あれ」どうなった?(1/3 ページ)
三菱鉛筆のシャープペンシル「クルトガダイブ」が人気だ。店頭に並んだ瞬間、すぐに売り切れるという。ただ、価格は5500円と強気だ。シャープペンシルにしては高価だが、なぜこんなに売れているのか?
三菱鉛筆の新作シャープペンシル「KURUTOGA DIVE(クルトガ ダイブ)」は、今年大ヒットした商品の一つだ。5500円という強気な価格設定にもかかわらず、2022年に2回数量限定で販売した際には一瞬で店頭から姿を消した。
高い技術力で、シャープペンシル市場をけん引する存在の三菱鉛筆。5500円という高価格に見合う技術や趣向を盛り込んだ。
常に芯が尖った状態をキープする「クルトガ」シリーズの独自機構に加え、クルトガダイブにはノックいらずで芯を出せる「自動芯繰り出し機能」を搭載。また、シャープペンシルには珍しいキャップも付けた。キャップを外すだけですぐに文字を書き始められるだけでなく、ペン先を保護する役割も担う。
さまざまな機能が搭載され、画期的な商品であることは間違いない。ただ、5500円はシャープペンシルを日常使いする中学〜高校生が気軽に買える値段ではないのではないか。
構想〜商品化まで15年かかった技術力についてだけでなく、価格やターゲット設定について、同社の商品開発部 商品第1グループ 西村光貴さんに話を聞いた。
開発〜商品化まで15年 世界初と誇る機能とは?
クルトガダイブの構想は15年前にさかのぼる。15年前というと、クルトガのスタンダードモデルすら生まれていない。「自動で芯が繰り出せたら面白いよね」というアイデアの種を膨らませ、技術力を高めていった。
自動芯繰り出し機能よりも先に、芯を回して尖らせ続ける技術が完成。「芯が回ってトガりつづけるシャープ」というコンセプトでクルトガを先に売り出した。
商品化までに15年もの歳月をかけたクルトガダイブ、三菱鉛筆が世界初と謳(うた)うのが「パイプから芯を出した状態で、自動的に芯が最適な長さでキープされる」という点だ
取材の中で西村さんは「実は、自動で芯が出るという技術自体はクルトガダイブが初めてではありません」と話す。ではクルトガダイブは何がすごいのか? また、従来品とはどういった違いがあるのか?
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