傘下のダイハツ工業による車両認証試験不正を巡り、トヨタ自動車の長田准チーフ・コミュニケーション・オフィサー(CCO)は12月28日、ダイハツから要請があれば、同社の仕入先や販売先への補償で全面的に資金支援する方針を記者団に明らかにした。
認証試験の不正拡大を受け、ダイハツは26日までに国内にある完成車工場全てを停止。ひとまず1月末までの停止を決めたが、再開時期のめどは立っていない。国土交通省が不正の実態調査を行うため、再開には時間がかかりそうだ。
長田氏は「ダイハツからの要請が大前提」とした上で「これから発生する仕入先や販売先への補償については、トヨタとしても融資を準備している。資金不足に対しては全面的にバックアップしていく」と話した。
ダイハツの井出慶太コーポレート統括本部統括部長は、補償の原資はまずは独力で確保を検討していくが、「現時点では操業停止期間が見通せない」とし、「金融機関にも相談している」と述べた。
ダイハツは25日の記者向け説明会で、1次仕入先だけでなく2次、3次以降の仕入先に対しても、困りごとに対する補償を行う方針を明らかにしていた。同社によると、直接取引のある1次仕入先は423社あり、補償の対象としては、生産に直結する4000社以上、間接的に生産に関わる1000社超がある。
仕入先には非稼働に伴う実損、生産再開後に使えない使用期限切れの部品などに対して補償する方針。販売店に対しても経営面の支援や営業補償を検討している。
27日には2回目となる仕入先への説明会を実施し、1月末までのいったん稼働停止や補償対応などについて伝えた。
帝国データバンクは、ダイハツに売上高の1%以上を依存している国内のサプライチェーン上の企業は8136社と推計している。
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