マツダの「MX-30 ロータリーEV」 現時点で“EVの最適解”と言えるワケ:高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)
マツダがロータリーエンジンを復活させたことで注目される「MX-30 ロータリーEV」。ロータリーエンジンを発電に使うこのクルマは、MX-30のEVモデルとは別物の乗り味だが、日常で使いやすい仕様になっている。今後のEV普及に向けて、現時点で「最適解」と言えそうだ。
レンジエクステンダー開発中止の真相
当初マツダから聞いていたのは、「MX-30 EV MODEL」をベースにロータリーエンジンを追加して航続距離の延長を図る「レンジエクステンダーEV」を開発する、という計画だった。それはMX-30 EV MODELの出来栄えを知れば、至極納得のいく話だった。
ところがその後、経済誌のWebニュースで「レンジエクステンダー開発中止」という見出しが踊った。少々の驚きとともにそのニュースを読むと、どうやらレンジエクステンダーEVではなくPHEVへと方向転換するという話で、タイトルは少々吊(つ)り気味ではあったが、それも納得のいく話だった。
というのも、レンジエクステンダーEVは、従来のEVに発電用のエンジンを備えたもので、BEVよりもさらに航続距離を伸ばせるというものだ。しかし、実際の使い道を考えてみると、日常の使用では100キロも走らないユーザーが大半で、そこに発電機を搭載してもエンジンの始動機会はかなり限られる。
それでも週末や行楽の季節、帰省のタイミングではドライブに出掛けるユーザーもいて、その時には航続距離が300キロでも足りなくなる。そのため、航続距離を柔軟に変化できる発電機を組み合わせることで実際の航続距離を伸ばし、燃料さえ補給すれば走り続けられるように仕立てたのである。
そういった意味ではプラグインハイブリッドの部類に入るのだが、その乗り味は極めてBEVに近い。それがロータリーEVならではの特徴なのだ。
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