なぜ「ちゃん系ラーメン」支持される? 背景に高齢化 こってり、がっつりだけではない新潮流:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
「ちゃん系ラーメン」と呼ばれるラーメン店が都内を中心に流行している。その背景にあるのは高齢化だと筆者は指摘する。ラーメンの潮流から最新の動向を読み解く。
飛躍する「味のともちんファミリー」
特筆すべきは、高円寺 ともちんラーメンを発祥とする味のともちんファミリーの飛躍だ。系列として、中野 邦ちゃんラーメン、小滝橋 クマちゃんラーメン、新橋 ニューともちんラーメンだけでなく、24年2月には川口「トラちゃんラーメン」(埼玉県川口市)開業予定と勢いが加速している。
しかも、出店の仕方が臨機応変で、小滝橋と川口は他のちゃん系が撤退した後の建て直しに、新橋は狭小物件でもあるが立ち食いラーメンにそれぞれチャレンジしている。中野は隣り合ったラーメン凪系列の煮干しラーメン店2店をまとめて改装した。
ラーメンののれん会というと、東京・荻窪発祥の丸長のれん会が有名だ。丸長からのれん分けして「丸信」や「丸和」、そして「大勝軒」などを輩出し、つけ麺のルーツとなった。
1947年、東京・荻窪にて5人の共同経営で丸長を創業。その後、4人が丸信、栄楽、大勝軒、栄龍軒として独立。それぞれがのれん分けで出店を増やしていった。
59年、「会員の相互扶助の精神に基づき、協同事業を行い、親睦及び経済的地位の向上を図ること」を目的として、丸長のれん会が発足した。営業改善、技術向上、原材料の共同購入、従業員のあっせん、福利厚生などの事業に取り組む「互助組織」となった。2019年に60周年を迎えた丸長のれん会は、同年3月14日時点で40店が属していた。
ちゃんのれん組合にもそれに負けない発展を期待したい。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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