なぜ「ちゃん系ラーメン」支持される? 背景に高齢化 こってり、がっつりだけではない新潮流:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
「ちゃん系ラーメン」と呼ばれるラーメン店が都内を中心に流行している。その背景にあるのは高齢化だと筆者は指摘する。ラーメンの潮流から最新の動向を読み解く。
流行しているが常勝とはいえない
これまで、ちゃん系ラーメンの詳細は謎に包まれていた。看板、ラーメンの内容、商品構成などに共通点が多く、どう見てもチェーン店にしか見えなかった。
しかし、実際にちゃん系の店に行って聞いてみると「似たような店があるとは聞いているが、ウチとは関係ない」と系列であることを否定する店員もいた。一方で「味はどの店も一緒じゃない。ウチにはウチのやり方があるけど、チェーン店のようなものかな」と、ちゃん系は系列店だと認める発言をする店員もいた。
のれん分けならば、フランチャイズチェーンではないので、双方の辻褄が合うのだ。
また、ラーメン凪の系列店跡地に多く出店していることと、凪スピリッツジャパンの製麺部門に「新宿だるま製麺」(だるま製麺とも表記する)があることから、同社の新業態と見られていた。しかし、問い合わせてみるとちゃん系ラーメンの店で修業して、新宿ナギチャンラーメンを出店したという経緯だった。
同社に「ちゃん系が使っている麺の製麺所は、御社と関係あるのか」と聞いてみると、「全く関係ない」と回答された。
なお、ちゃんのれん組合を取りまとめているのは、神田のちえちゃんラーメンとのことだ。
ちゃんのれん組合のWebサイトは、神田「ちえちゃんラーメン」、新宿「えっちゃんラーメン」、池袋「ひろちゃんラーメン!」、だるま製麺が共同で運営している。ちゃん系中華そばの発展を共に真摯(しんし)に目指す加盟店を募集中だ。
同サイトに記載されている、ちゃんのれん組合の加盟店は以下の通りだ。新宿ナギチャンラーメンと各店のオープン日については、筆者が「食べログ」などの情報から書き加えた(いずれも都内の店舗)。
- 神田 ちえちゃんラーメン 20年6月
- 新宿 えっちゃんラーメン 20年8月
- 田町 えっちゃんラーメン 20年10月
- 池袋 ひろちゃんラーメン! 20年10月
- 浅草 生田庵 20年2月
- 高円寺 ともちんラーメン 21年5月
- 新橋 はるちゃんラーメン 21年8月
- 下北沢 なおちゃんラーメン 22年3月
- 虎ノ門 たきちゃんラーメン 22年4月
- 新宿 シンちゃんラーメン 22年6月
- 中野 邦ちゃんラーメン 23年3月
- 小滝橋 クマちゃんラーメン 23年7月
- 新橋 ニューともちんラーメン 23年9月
- 新宿 ナギチャンラーメン 23年10月
上記の店で、「ラーメン凪 豚王」の跡地に入居したと見られるのが、神田 ちえちゃんラーメン、新宿 えっちゃんラーメン。すごい煮干しラーメン凪の跡地に入居したと見られるのが、田町 えっちゃんラーメン、池袋 ひろちゃんラーメン!、浅草 生田庵、下北沢 なおちゃんラーメン、新宿 ナギチャンラーメンだ。
浅草 生田庵が最も古くからあるが、ちゃん系の形を確立したのが神田のちえちゃんラーメンだ。コロナ禍で不振に陥ったラーメン凪系列の店を中心に、どんどん転換していった足跡が見える。
一方、ちゃん系の全てが成功したわけではなく、閉店した店もある。
20年8月、すごい煮干しラーメン凪跡地にオープンした埼玉県川口市の川口「ちえちゃんラーメン」は、22年1月に休業。そのまま閉店したが、その跡地にともちんラーメンの「味のともちんファミリー」5店目となる「トラちゃんラーメン」がオープンする予定だ。
20年12月には、埼玉県さいたま市の大宮に生田庵がオープンしたが、既に閉店している。大宮の生田庵は凪の二郎系ラーメン「豚パンチ」跡地にあった。
新宿の「ひろちゃんラーメン!」は20年9月に、立ち食いそば「嵯峨谷」の跡にオープンしたが閉店。その後、ともちんラーメン姉妹店の「クマちゃんラーメン」が代わってオープンした。
21年9月、五反田のすごい煮干しラーメン凪の跡地に、「かっちんラーメン」がオープンしたが、この店も既に閉店している。
従って、流行っているちゃん系ではあるが、常勝とまでは行かないようだ。
しかし、虎ノ門のたきちゃんラーメンは、虎ノ門ヒルズにあり、名店「勝本」の担々麺専門店の跡地を任されている。森ビルに見染められるくらいだから、今のラーメンの先端と見る外食リーシングのプロも多いということだろう。
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