なぜ「ちゃん系ラーメン」支持される? 背景に高齢化 こってり、がっつりだけではない新潮流:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
「ちゃん系ラーメン」と呼ばれるラーメン店が都内を中心に流行している。その背景にあるのは高齢化だと筆者は指摘する。ラーメンの潮流から最新の動向を読み解く。
ちゃんのれん組合とは?
ちゃん系ラーメンを運営しているのはどういった人たちなのか。
「新宿ナギチャンラーメン」を23年10月、東京・歌舞伎町にオープンした凪スピリッツジャパン(東京都中央区)に問い合わせてみると、「ちゃん系というのは、『ちゃんのれん組合』に加盟している店のことで、店に加盟店のステッカーが貼ってある。ちゃん系の店で修業したメンバーでオープンした」とのこと。また、同社は「ちゃん系の麺は同じで、味は各店で違う。ちゃん系を皆で盛り上げていきたい」と抱負を述べた。
つまり、ちゃん系の店で修業した人が、のれん分けで増えているのがちゃん系ラーメンということになる。ある店に行って店員に聞いてみると「『はるちゃんラーメン』で修業した」という。はるちゃんラーメンは、ミシュランガイドで「ビブグルマン(価格以上の満足感が得られる料理)」に掲載された名店だ(東京・新橋にある)。
ミシュランガイドの公式Webサイトによれば「“ビジネス街のオアシス”として知られる新橋駅前ビルの中、女性店主『はるちゃん』のひたむきな姿が目に留まる。看板や壁に描かれたポップアートが象徴的。中華そばは、豚骨と煮干しのだしに塩とラードを利かせ、平打ち麺はふっくらとした食感を求めた。胃袋を満たす熱々の一杯が一日の活力となる」と、選定理由が寸評されている。
はるちゃんラーメンは、ちゃん系の中では珍しい塩ラーメンだ。個人的には味わいも一番やさしい感じがしている。
新宿ナギチャンラーメンの店員が、はるちゃんラーメンで修業した後に開業したとしよう。新しい店舗のメニューがはるちゃんラーメンと酷似していても、同一のラーメンを出してはいない。これが、金太郎飴の均質性を目指すフランチャイズチェーンとは異なるところだ。基本形は同じでも、その店なりの味を追求して切磋琢磨し合うのが、ちゃんのれん組合の趣旨であるようだ。
なお、「すごい煮干しラーメン凪」1号店は新宿ゴールデン街に04年オープン。毎月5トン以上仕入れるという煮干しを全面に出した“ニボい!”ラーメンが売りだ。この店が人気を博し、今では国内外に38店舗を展開している。海外は煮干しではなく、豚骨の「豚王」を展開しており、日本では逆輸入する形で東京・渋谷に店舗がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。
「90秒ラーメン」は広まるのか 米国からやって来た自販機のミライ
米国からやってきたラーメン自販機をご存じだろうか。その名は「Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)」。わずか「90秒」でアツアツのラーメンが出てくるが、日本でどこまで広まっているのだろうか。取材したところ、やや苦戦しているようで……。


