AIでも品質は落とさない 「LINE AiCall」の特徴
LINE WORKSは現在、BtoBに向けたツールとして電話応対AIサービス「LINE AiCall」を提供。保険会社のコールセンターや運送会社の集荷依頼、レストランの注文・予約受付などで導入が進んでいる。
LINE AiCallは、LINE CLOVAのAI技術である音声認識、音声合成、会話制御の仕組みを組み合わせて自然な対話応答を実現していることが特徴。また、従来の“決められた通り”ヒアリングするサービスと異なり、AIが顧客との会話を理解するため、要件に応じた応対ができる。
「労働者人口が減少する中、コンタクトセンターは定着率が低い企業も多く、人手不足が大きな課題になっています。音声認識や音声合成技術を活用し、自動化できるところにはAIを配置し、ホスピタリティや人の温かさが必要な部分に人のリソースを集中しようという考えのもと、LINE AiCallを開発しました」(渡邊さん)
スムーズな会話ができることで、AIを使っていても顧客との関係性を担保し、サービスの質を維持しながら、人件費削減につなげることが強みだという。
まるで人間? スムーズな会話、どう実現?
コンタクトセンターにおけるAIの電話応対は、一問一答でなかなか話が進まなかったり、機械的な音声で会話が一方通行だったり、顧客がストレスを感じるケースも多い。
LINE AiCallでの対話は、抑揚があり、まるで人間のオペレーターと話しているような感覚を覚える。この最大の強みであるスムーズな会話は、どのように実現しているのか。
「自然言語処理を意識しています。4〜5年かけて、当社のメンバーで実際にトークスクリプトを読み上げ、抑揚や自然な話し言葉を録音しました。そのデータを基に、あいまいな表現を避けたり、人との会話に近くなるように抑揚を付けたり、『てにをは』や主語述語の順番をあえて変えたりしています」(渡邊さん)
また、顧客が話す内容に合わせた応答ができることも同サービスの特長だ。渡邊さんは「問い合わせを全てAIで完結させることを目標にしています」と話す。
例えば飲食店を予約する際、一般的なAIサービスでは希望日に予約が取れなかった場合、電話を切ってしまうか、人につないで調整をしてもらう――という設計が多い。
LINE AiCallの場合は、予約が取れなかった場合のシナリオも用意し、学習させているため、空いている他の日時や時間帯を提案するなどの柔軟な対応が可能だ。チャットボットのように機械的なやりとりのみを担うのではなく、通常人が対応するような内容も対応できるように設計している。
「柔軟性を持たせたシナリオを用意し、AI学習させることで、何パターンかのお客さまの回答に合わせたレスポンスが可能になります。
当社にはシナリオを作成する専門のメンバーがおり、導入企業と一緒に、どういう問い合わせが多いか、オペレーターが対応するまでもない問い合わせは何か、逆にオペレーターにつなぐべき問い合わせは何かを相談しています」(渡邊さん)
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