無印、3COINSを脅かす? ダイソー系列のこだわり「300円ショップ」が急増している背景(2/3 ページ)
100円ショップ「ダイソー」を展開する大創産業が、300円ショップを精力的に展開している。どのような背景や狙いがあるのか。
「THREEPY」「CouCou」も展開
直近1年で大創産業はStandard Productsの出店ペースを加速させている。21年3月に1号店をオープンした後、2号店を同年10月に開店。22年末時点では約30店舗しかなかったが、前記の通り23年は月平均5店舗のペースで拡大し、年末時点で約100店舗となった。新業態はたいてい数店舗を展開し、見込みがなければ撤退するのが通常のやり方だ。これだけ伸びていることから、大創産業にある程度の手応えがあると分かる。
ちなみに同社は300円均一業態として他にも「THREEPPY(スリーピー)」を展開している。THREEPPYは30〜40代の女性をターゲットにしたもので、食器や洗濯用品、バッグ類など「かわいい」柄のものが多い。こちらは約9割がオリジナル商品であり、18年に1号店をオープンし23年9月時点で店舗数は400を超える。
他にも大創産業は20年5月に300円ショップ「CouCou(クゥクゥ)」をビルジャン(名古屋市)から取得。CouCouは現在、約30店舗を展開している。こちらもTHREEPPYと同様に女性をターゲットとした店舗だ。近年の動きを振り返るとダイソーが300円均一業態に力を入れてきたことが分かる。
3COINSに刺激を受けた?
ダイソーが300円業態に進出した背景には、300円ショップの先導役ともいえる「3COINS」の成功があるのではないだろうか。3COINSはアパレル事業を主力とするパルグループホールディングス(大阪市)が1994年に始めた業態で、生活雑貨やインテリア雑貨を扱う。Standard Productsと同じくほとんどがオリジナル商品だ。
21年2月期に200店舗を突破した後、23年9月には300店舗を達成した。3COINS事業の売上高は20年2月期から23年2月期にかけて257億円→259億円→379億円→489億円とコロナ禍での成長が著しい。コロナ禍における300円ショップ業態の成功を見たダイソーが、同業態の拡大を急いだと推測される。
同じく3COINSに触発されたのか、無印良品も同業態に進出している。無印は22年9月に500円以下の商品をメインとする「無印良品 500」を展開し始め、駅ナカなど日常的に来店しやすい場所をターゲットに出店している。500円以下の日用品・消耗品が多くを占め、その他化粧水など女性向けの商品も取り扱う。厳密には300円ショップではないが、100〜200円台の商品も多く、全体的な価格帯を考えれば300円ショップと似た業態であるといって良いだろう。年間20店舗ペースでの出店を計画しているという。
関連記事
- 1000円に手を出す「ダイソー」と100円にこだわる「セリア」 コロナ禍でも好調な業界に変化
コロナ禍でも100円ショップ業界が好調だ。「2強」のダイソーとセリアでは戦略が大きく異なる。キャンドゥとワッツの独自戦略にも迫る。 - ダイソーのおしゃれな新型「300円ショップ」オープン 訪れて分かったコンセプトとは
大創産業は「中心価格帯が300円(税別)の新業態「Standard Products by DAISO」を東京・渋谷にオープンする。主力の100円ショップでも、若い女性向けの300円ショップでもない。新しい柱として成長させられるか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.