チラシを配って「お客」はどこから来たのか 「俺のイタリアン 吉祥寺店」の試み:火曜日に「へえ」な話(2/4 ページ)
「俺のイタリアン 吉祥寺店」が店のチラシを配ったところ、集客に効果が出ているそうだ。「紙のチラシ? 古いねえ」と感じられたかもしれないが、地域密着型の店舗にはそれなりの効果があるようで……。
店を起点に3つのエリアにわけてみた
ここから先の話は「俺の〇〇」ならではの悩みである。1号店がオープンすると、当時「立ち食いスタイル」が珍しいこともあって話題になった。立って食べると回転率を上げられるので、食材にコストをかけられる。客からすると「えっ、この価格でこの料理を食べられるの?」という驚きもあって、あっという間に人気に火がついたのだ。
同社は店をどんどん店を増やしていったわけだが、数年後には方針を変更することに。椅子メインの店を増やしていったものの、いまだに「俺の〇〇=立ち食い」と思っている人が多いようだ。
会社としてはこの「思い込み」には気を使っていて、吉祥寺店がランチを始めたものの、お客には「ディナーのみ」という記憶が刷り込まれているかもしれないと考えた。それではないけないということで、チラシを配って「ランチもやっていますよー」という認知を広めようとしたのだ。
「吉祥寺店は地域密着型の店舗なので、SNSなどを活用するのではなく、チラシをつくってそれを投函していこう」となったわけだが、どこに配ればいいのかという問題があった。手探りではあったものの、店を起点に、北東、北西、南の3つのエリアにわけてみた。
詳しい場所については、下の地図を見ていただきたい。店から約1キロ圏内をターゲットに定めて、各エリアで1万〜2万部ほど配って回ったのだ。
吉祥寺店のスーパーバイザーを担当する橋本改さん(執行役員)は、3エリアの中で北西に期待を寄せていた。いや、より正確に言うと、北東からの集客をあまり見込んでいなかったのだ。なぜか。
吉祥寺の地理に詳しい人であれば想像できるかと思うが、駅の北側には百貨店もあれば家電量販店もあれば飲食店もたくさんある。週末だけでなく平日もにぎわっているところなので、北東エリアに住んでいる人が店に足を運ぶには「そこを越えて」いかなければいけない。
店まで歩くにはちょっと距離があるので、移動手段は自転車が考えられる。しかし、ひと昔と違って、テキトーに自転車を停めてお店に入るわけにはいかない。「チラシが届いてたので、フラっと店に行ってみるか」と気軽に足を運ぶ人が少ないのではないかと見ていたのだ。
いわば消去法のようなカタチで北西エリアからの来店を期待していたわけだが、結果はどうだったのか。ポスティング前と比べて、北西の客数は13〜15%ほど伸びたという。まずまずの数字である。
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