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「ゾンビ企業」増加率が過去最多 最も多い業種・地域は?

帝国データバンクがゾンビ企業に関する調査結果を発表した。2022年度は1万7387社を数え、前年からの増加率が07年度以降で最悪となった。

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 経営が実質的に破綻状態にあるにもかかわらず、銀行・政府などの支援で延命している状態の「ゾンビ企業」が増加している。帝国データバンクが調査結果を発表し、2022年度のゾンビ企業は1万7387社だった。前年から3.6ポイント増加し、上昇率は調査開始の07年度以降で最も大きかった。

 業種別では「小売」、地域別では「東北」でゾンビ企業率が最も高かった。国際決済銀行が定めるゾンビ企業の定義を基に、23年11月時点まで「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満」かつ「設立10年以上の企業」を調査した。

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帝国データバンクがゾンビ企業の実態を調査(提供:写真AC)
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ゾンビ企業の定義(出所:プレスリリース、以下同)

 22年度の財務データが判明している「3年連続でICRが判明」かつ「設立10年以上」の企業は10万1478社だった。このうちゾンビ企業は1万7387社で、ゾンビ企業率を算出すると17.1%に上った。

 帝国データバンクによると、ゾンビ企業が増加した要因の一つとして実質無利子・無担保のゼロゼロ融資が挙がった。コロナ禍で中小企業の資金繰りを支えた半面、足元では反動が顕在化しつつあり、業績改善できないまま事業継続を断念する企業も目立つという。

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ゾンビ企業率の推移

 22年度のゾンビ企業率を業種別に見ると小売(27.7%)が最も高かった。以降は「運輸・通信」(23.4%)、「製造」(17.8%)が続いた。21年度と比べて全業種でゾンビ企業率が高まっており、特に上位3業種は全体平均(17.1%)を上回った。

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ゾンビ企業率(業種別)

 従業員数別では「5人以下」(25.1%)のゾンビ企業率が最も高かった。反対に最も割合が低かったのは「1000人超」(2.8%)で、従業員数が少なくなるにつれてゾンビ企業率が高まる傾向が見てとれた。

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ゾンビ企業率(従業員別)

 地域別では東北(21.3%)と「中国」(20.2%)で2割を超えた。東北は東日本大震災後の各種金融支援策の影響もあり、震災から10年以上がたった今も借り入れ負担が重荷になっていることがうかがえる。一方で「関東」(14.8%)が最も低く、都道府県別で最も割合が低いのは「東京」(12.9%)だった。

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ゾンビ企業率(地域別)

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