2年分のアポ数を「半年」で獲得! 驚異的な成果
村尾: なるほど、確かに行動の質量、そしてお客さまへの価値提案の部分を直接的アプローチによってコントロールできること自体、事業に対して本質的に有効ですよね。 まずは「review-it!」でBDRの営業手法の活用を開始したわけですね。
原井: はい。立ち上げにかかった期間としては22年の12月から3カ月程度です。
販売部門が同時に数十のプロダクトの販売促進を手掛けていて、「review-it!」の営業のために「時間をどう捻出してもらうか」が当社ならではの課題でした。そこで該当する担当者の曜日や時間を区切り、その時間内で戦略を立て、実際に営業活動をしてみて、成功から失敗まで言語化してもらう――という形で、スモールスタートで進めましたね。
村尾: デジタルの製品・サービスはニーズの探索と製品・サービスの磨き上げを両輪で回すことが重要なので、まず小さなチームで素早く着手されたことは、他の企業でも参考となりそうです。BDRを開始する際、まずは何から着手されましたか?
原井: リストからターゲット企業の情報を集め、例えばWebサイトや組織図から「どの組織にreview-it!は刺さるか?」といった形で仮説を立て、業務内容や市場に応じてトークスクリプトを変える、といったPDCAを回していきました。
さらにお客さまの反応によって“こう切り返そう”というシミュレーションを複数パターン準備。実際の電話や打ち合わせで実践する中での成功や失敗を日報にして言語化し、共有していました。一社一社しっかりと仮説を立てた上でアプローチし、改善して……と、組織全体でより良い営業活動を行うサイクルを作るのは、従来の「1つのトークスクリプトをもとにやみくもに電話をかけまくる」テレアポのイメージとは異なり、クリエイティブな活動でした。
村尾: 過去の記事でも言及した通り、単なるオペレーションではなく仮説構築力が必要なクリエイティブな作業ですよね。「ニーズを創出する」「リードをコントロールする」といった成果は、BDRを実装したことで感じられましたか?
原井: 如実に感じています。リード獲得時期を分散するだけでなく、不足した時にはアクション量やリソースを増やすことでコントロールできるようになってきました。
副次的な効果として、営業のフローを整備し、フェーズごとに分割して各局面でデータを取得することで、パイプライン管理も可能になりました。これにより改善すべき箇所を発見し、すぐに対処する体制も整いましたね。現在はリードを実際の受注にまで引き上げることに注力していきます。
成果は感じましたが、他部門への展開を見込んだ時に1製品・サービスでの成功事例では実証としては不十分なので、全く異なる製品・サービスでトライしようと、「IEMANE」でもBDR立ち上げを行うこととなりました。
村尾: 「review-it!」での知見をもとに進められた「IEMANE」におけるBDRチームの立ち上げについても教えていただけますか?
日高: 他の製品・サービスでも先行していたことで、比較的スムーズに進んだ印象がありますね。また、私たちは自身でも販売活動をしていた前例を生かし、“この業界なら刺さるのでは?”“この部門は反応が悪くても、この部門だったら違うのでは”といった仮説をもって臨めたことも要因だと思います。
最初の1カ月程度で、組織の立ち上げからKPI設定、スクリプトの作り方などPDCAの回し方をインストールしていきました。取り組みを続けたことで、当初の3カ月で、インサイドセールスから予想を上回るトスアップがあり、過去2年間のアポイント数を、約半年で上回ることができました。これは驚異的なことです。
また「IEMANE」というサービスは、ターゲットとなる顧客候補の業界が限られていて無数にあるわけではありません。そのため、「1度断られたからこの企業にニーズはない」と白黒つけずに部署を変え、アプローチ方法を変えてリード獲得までもっていくなどと、とにかくリストを大事に掘り起こしていきました。BDRに取り組む中で、これまで感覚的に持っていた仮説を言語化・検証し、顧客候補に関心を持っていただけると証明できたことは、メンバーのモチベーションにもつながっていると思います。
加えて、メンバーが各自で持っていた仮説や結果を持ち寄ることで、チーム全体としてより良い営業活動ができるようになった感覚があります。「デキる営業」は自分なりのトークスキルを磨き、とっておきのノウハウは周囲に漏らさない、といった考え方もありますが、「営業」という仕事自体を見直す契機にもなりました。
村尾: 組織全体で一定水準以上の活動を行いたい場合に、「デキる営業」だけでは思い付かないような豊富な手法を生み出し、各メンバーが「ノウハウを開示した方が自身の数字が上がる」経験をすることでさらにチームに好循環が生まれる。素晴らしい事例ですね。
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