「3.141592653589……」円周率のハンコが話題に “違和感”なく見えるワザを聞いた:「次の駅まで」に読めるハナシ(2/2 ページ)
円周率のハンコがSNSで話題になっている。1円玉よりも小さい直径12ミリの印章の中に、160ケタの数字が並んでいるのだ。肉眼で数字が見えないほどのハンコは、どうやってつくったのか……。
数字の大きさが違う
もう一度、完成した印鑑をじっくり見ていただきたい。
数字の大きさも線の太さも、ところどころ違っている。例えば、最初と最後の行の数字を見比べると、大きさが明らかに違う。「印鑑を見て『なにかヘンだよね』と感じられるようなモノをつくってはいけません。そうなってはいけないので、大きさや線が違っていても、全体を見たときに違和感を覚えることなく、数字が並んでいる商品をつくりました」(村尾さん)
技術力の高さがうかがえたわけだが、失敗もあったそうで。「ちょっと線が太いかな」「3列目の数字が詰まっているかな」「3.14の『.』がよく見えないよね」といった問題がでてきた。これもダメ、またダメ……を繰り返し、試作品が10個を超えたあたりで、ようやく完成した一品である。
こうして円周率の印鑑は生まれたわけだが、売れ行きはどうなのか。実は、当初、販売の予定はなかったそうで。「ウチの会社はこのくらいの技術力がありますよ〜」といったことをアピールするためにつくったものの、この写真を見た人から「スゴい」「これほしい」といった声が多かったので、急きょ販売することに。
しかし、である。価格を設定して売り出したのに、1本も売れない。なんとかしなければいけないという思いもあって、冒頭で紹介したように、SNSで『「円周率のハンコ売って欲しい!」と言われ販売開始したのに1本も売れてないって嘘みたいだよね』と投稿したところ、多くの人に拡散したといった次第である。
1月26日現在、売り上げは60本を超えた。当初、社内では「2〜3本売れたらいいよね」といった話をしていたそうなので、上々の滑り出しといったところである。
円周率の印鑑をつくりたいって? 「それおもしろそうだね。いいよ!」と “決裁印”を押した上司は、ニンマリしているに違いない。
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