EVシフトで「トヨタは遅れている」は本当か:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
世界的なEVシフトの中、エンジン不正が騒がれているトヨタグループ。日本は本当に世界から遅れをとっているのだろうか、それとも……。
トヨタグループの「不正」が続いている。
2022年3月、エンジンの排ガスや燃費にかかわる性能試験で、日野自動車の不正が発覚した。これを皮切りに、23年には豊田自動織機でフォークリフト用エンジンの排ガス試験での不正、ダイハツの排ガスや燃費、さらに衝突試験などで174件の不正が見つかった。24年には「ランドクルーザー」や「ハイエース」など、トヨタ自動車向け3機種のディーゼルエンジンで不正が明らかになった。
こういう「エンジン不正」で世間が大騒ぎになっているのを見ると、「日本、大丈夫?」と心配になる人も多いかもしれない。
ご存じのように、世界では「EVシフト」が叫ばれて久しい。中東情勢の緊迫化による世界的なガソリン高騰もあり、今のところこの動きはさらに加速している。
それを象徴するのが、中国の大手自動車メーカー「BYD」(比亜迪)だ。世界一のEV市場である中国で米テスラを抜き去り、輸出も合わせて世界一のEVメーカーとなった。ちなみに、トヨタグループは世界最多の自動車販売台数を誇るが、EVになるとガクンと落ち込む。
調査会社マークラインズによれば、22年におけるトヨタのEV世界販売台数は2万台で28位。テスラやBYDだけではなく、米GMや独フォルクスワーゲン(以下、VW)の足元にも及ばない。つまり、EVシフトの波に乗り遅れているのだ。
そんな「遅れた国」で目下、日本を代表する自動車メーカーを直撃しているのが「エンジン不正」と聞けば、確かに「なんか、日本の自動車産業って世界から取り残されていない?」と感じる人がいらっしゃるのも当然だろう。
そんな不安にさらに拍車をかけるのが、今回の騒動が欧州でかつて起きた「ディーゼルゲート」と既視感(デジャブ)があるからだ。
関連記事
- なぜヘッドライトがまぶしく感じるクルマが増えているのか
夜間、クルマを走らせていて、対向車や後続車のヘッドライトがまぶしく感じることがある。その原因はどこにあるのか。大きくわけて3つあって……。 - なぜSUVは売れているのか 「しばらく人気が続く」これだけの理由
街中でSUVをよく見かけるようになった。各社からさまざまなクルマが登場しているが、なぜ人気を集めているのだろうか。EV全盛時代になっても、SUV人気は続くのだろうか。 - マツダCX-60は3.3Lもあるのに、なぜ驚異の燃費を叩き出すのか
マツダCX-60の販売状況が、なかなか好調のようだ。人気が高いのはディーゼルのマイルドハイブリッドと純ディーゼルで、どちらも3.3Lの直列6気筒エンジンを搭載している。それにしても、3.3Lもあるのに、なぜ燃費がよいのだろうか。 - なぜ人は「激安タイヤ」を買うのか アジアンタイヤの存在感が高まるリスク
アジアンタイヤが日本で存在感を増している。大きな理由として「安い」ことが挙げられる。しかし、本当にそれでいいのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.