【注目】ITmedia デジタル戦略EXPO 2024冬
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パナソニックが2023年9月に発売した電気シェーバー「ラムダッシュ パームイン」(以下、パームイン)。これまでの電気シェーバーの常識を覆す“手のひらサイズ”のフォルムで発売前から話題となっていたが、発売から約5カ月で想定の12倍以上の台数を売り上げているという。
パームインは、どんな発想から生まれた商品なのか。また、なぜここまでヒットしているのか。メンズグルーミング商品企画課の北村友資さんと、国内パーソナルマーケティング企画課の田中亨さんに話を伺った。
当たり前”から視点をずらすと、新しい市場が生まれる
――パームインの特徴について教えてください。
北村: 一番の特徴は「形」ですね。これまでのシェーバーは、グリップがついたものが一般的でした。でも、パームインにはグリップがついていません。手のひらにすっぽり収まる、“コロン”とした形をしています。
北村: 近年の傾向として、デザイン性などの「性能以外の要素」で購入を決めるシーンが増えています。性能が良いのは当たり前。それ以上に「自宅に置きたい」「使うときにワクワクする」といった理由で、買うものを選ぶんです。
家具や服、そして家電でもその傾向は年々強まっています。ただ、その観点は電気シェーバーには全くないものでした。電気シェーバーの市場は、行き着くところまで行き着いているんです。特に処理性能に関しては、各社が何十年も改良を重ねた結果、これ以上改良の余地がないほどに進化しました。そのため既存の電気シェーバーの性能に不満を持っている方は、かなり少ないと思います。
でも、電気製品ならではのメカメカしい見た目や本体の大きさ、ACアダプターや洗浄機など付属品が多いことについては、まだまだ改善の余地があるはず。視点を変えて「性能以外」の部分を突き詰めることで、新しい市場が生まれるんじゃないか。そう思って、従来にない形を追求することにしたのです。
――新しい市場を開拓するにあたって、取り組んだことはありますか?
田中: ターゲットの仮説を立てて、それがあっているかどうかモニター調査を行いました。パームインはこれまでにないデザイン性を重視した電気シェーバーです。そのため、従来の購入者層よりも、おしゃれに敏感な若い世代の人たちに需要があるんじゃないかと考えました。
――その仮説を検証するために、どんな調査を行ったのでしょうか。
北村: 建築家やインテリアデザイナー、アパレル会社勤務の方など、デザインへの興味関心が高い職種の方に集まっていただき、パームインを試してもらいました。
調査の際、使用感やそり心地以上に注目したのが「パームインを初めて見たときのリアクション」です。
見た瞬間に「これがシェーバーなの⁉」とポジティブな驚きがあるかどうかが、パームインの成功の鍵を握っていると思っていました。調査の結果は上々で、「この仮説はやっぱり正しかった!」と自信が持てましたね。
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