こうした会社が変われる方法としては、ピラミッドのトップ部分(=意思決定層)をせいぜい10名くらいにおさえ、彼らが組織全体のオペレーションを把握して、すべての物事をスピーディーに決められるような状態にすることです。
よく、「これをこうやってほしい、ときちんと指示を出しているのに、なぜか現場がちゃんと動いてくれないんだよね」とぼやく経営者がいます。年商1兆円規模の大企業に入ってくるような若手社員たちは、人一倍勉強もしてきた人たちばかりで能力も高く、現場の人間にやる気がないわけではありません。なのに、なぜ現場が動かないのかと思ってよくよく見ると、中間層に重大な問題があった、ということが多々あります。
この場合、中間層・幹部層に意思決定権を持たせなければ、もしくは、「意思決定をする」という責任を持たせれば、問題は解決する方向に進みます。彼らが理解できない、それゆえに判断できないことこそが、会社がうまく動かない理由なのです。
大企業では、経営者ではなく、こうした中間層の存在が、給与が上がらない元凶となっているケースが多く見られます。大企業の経営者たちは、みなさんとても賢く、知識もあり、剛腕、敏腕です。しかし、そんな優れた経営者に幹部層がついていけないことも多いのです。
また大企業の場合、社長といえども3年や5年で交代になることも少なくありません。幹部層からすれば、いずれトップが変わると思うと、「よし、この社長についていこう!」という意識も低いのです。
こうした「枷となるポジション」の問題は、会社の中で走っているプロジェクトにおいても発生します。
プロジェクトには責任者が必要です。例えば、先ほど挙げた例のように、1兆円企業でDXに取り組むとなると、各部署で責任を担うプロジェクト推進者が100人くらい必要になります。
同時に数多くのプロジェクトが動き、事業部や課といった単位でプロジェクト推進チームが必要となるためです。このとき、プロジェクト全体を統括する経営者がどれだけうまく旗振り役を務めても、「枷となるポジション」の責任者がいると、そのプロジェクトは絶対にうまく進みません。
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