生成AIで新卒採用はどう変わる? 2024年以降に訪れる「3つのフェーズ」(1/2 ページ)
3割の学生が、就職活動で生成AIを利用している──こんな調査結果がある一方で、企業の人事担当者の対応は必ずしも十分ではないようです。学生が生成AIをエントリーシート(ES)作成に活用した場合にどう対応すべきかなど、担当者が検討すべきトピックは複数あります。今後見込まれる3つのフェーズごとに、企業がどう対応すべきかを考えます。
ChatGPTはビジネスにおいてさまざまな活用が進んでいます。それは新卒採用の領域も例外ではなく、既に一部の企業や学生が利用しています。
UZUZの調査によれば、学生の3割が就職活動で生成AIを利用しています。学生側のこうした動きに対し、企業の人事担当者の対応は必ずしも十分ではないようです。パーソルキャリアの調査において、学生側の生成AI活用に対して検討していることは「特にない(検討の予定はない)」と答えた担当者は47.7%と、半数に迫りました。2024年の新卒採用では、本格的な議論や対応に取り組まざるを得ない企業が増えることでしょう。
例えば学生が生成AIをエントリーシート(ES)作成に活用した場合にどう対応すべきかなど、新卒採用において担当者が検討すべきトピックは複数あります。今後どのような動きが見込まれるのかを3つのフェーズに分けて解説し、企業がどう対応すべきかを考えます。
ESを生成AIで書く学生──企業はどう見ているか
先述したUZUZの調査によれば、学生側の具体な活用方法は、志望動機やいわゆる“ガクチカ”(学生時代に力を入れたこと)などの文章作成の補助が最も多く、続いて自己分析のサポートです。自身の経験を要約したり、相手に伝わりやすい文章に変換したりといった活用がなされているようです。
一方で企業からは「学生の意思、個性が薄くなる」「熱意や将来像までAIに創作させることは看過できない」など否定的な声があると、時事通信が自社調査の結果を基に報じています。
否定的な企業の中には、活用を禁止するケースも出てきている一方で、当社ZENKIGENが実施した調査では、人事担当者の約65%が企業側の生成AI活用に肯定的でした。
その理由として「AI活用はこれからの必須スキルであるから」「応募者の時間・労力を減らせるから」「採用にテクノロジーを活用することで、旧態依然とした採用スキームをより進歩させるから」といった声がありました。「AIを活用できる人材」や「新たなトレンドに敏感で変化を恐れない人材」を採用したい、という意図があるようです。
現時点では、新卒採用に使われ始めた段階の生成AI。企業と学生の双方の利害が必ずしも一致していないスタートのようですが、今後はどのような変化が待っているのでしょうか。3つの段階があると考えます。
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