外国人は「ジブリパーク」を称賛するのに、なぜ日本人は「高い」と感じるのか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
外国人観光客に人気の「ジブリパーク」だが、国内では「高い」などの理由で反応がイマイチのようだ。今後ジブリパークが生き残るために、筆者が提案することは――。
「ジブリパーク」日本人の反応は
しかし、そんな海の向こうのジブリファンの盛り上がりとは対照的に、日本人の「ジブリパーク熱」はそれほどでもない。“ガチ”のジブリファンではないファミリー層からの評判は「悪い」と言っていいだろう。
毎日新聞(3月10日付)が報じたところによれば、ジブリパークが新エリア「魔女の谷」のオープンを機にチケット体系を見直したことで、「ディズニーランド並みのお金がかかる」「乗り物は別料金だし、ちょっと高すぎる」「家族で出かけるのは尻込みをする」などネガティブな声が聞こえているという。
同記事では、小学生の子ども2人と両親の4人家族が「ジブリパーク大さんぽ券プレミアム」という最も高額なプランで休日に来園した場合、チケットのみで計2万3400円。そこに別途料金がかかる「五平餅炭火焼体験」(1200円)、「メリーゴーランド」(大人1000円、子ども500円)、「フライングマシン」(500円)を家族で全て体験した場合、チケット代と合わせて計3万3200円になるとして、以下のように比較している。
同じく家族4人で東京ディズニーリゾートを訪れた場合、最も料金が高い日程での1日券(大人1万900円、小学生5600円)は計3万3000円となり、その金額はほとんど変わらない(同上)
スタジオジブリの親会社である日本テレビは読売新聞グループで、ジブリパークの管理運営会社には中日新聞社も出資している。そのため当初は毎日新聞がライバル社が仕掛ける新事業をディスっただけかと思ったのだが、ネットやSNSで利用者の声を見ると確かに「価格と見合わない」など辛辣(しんらつ)な意見も多い。
なぜ日本の誇りともいうべきジブリのテーマパークに、こんな厳しい声が寄せられるのか。「ディズニーランドも高級に感じるほどのデフレが悪い」「作品に出た建物が並んでいるだけですぐに飽きてしまう」など、いろいろなご意見があるだろうが、本質的なところを言ってしまうと、「ジブリパークとは何か」という周知が十分ではなかったことに尽きる。
ご存じの方も多いだろうが、ジブリパークはテーマパークではない。「森と相談しながらつくっているスタジオジブリ作品の世界を表現した公園」だ。公園なので最新技術を用いた騒がしい施設や、アトラクションは必要ない。高額な入場チケットを払ってでも、美しい自然とジブリワールドに浸りたい人向けの「有料公園」という位置付けだ。
しかし、世間はそう見ない。「ジブリパーク」というネーミングのせいもあって、ここを勝手に「テーマパーク」だと思い込んで訪れている人がかなりいるのだ。そういう人たちは当然、毎日新聞がディズニーと比べたように他の国内有名テーマパークと比較してしまう。そして、「この内容にしては高くない?」という反応になって、辛口レビューを拡散するというわけだ。
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