ようやく制度化「セキュリティ・クリアランス」とは? 民間企業にどう影響するのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
閣議決定されたセキュリティ・クリアランス法案は、民間企業の従業員も無関係ではない。先端技術分野も機密情報となり、情報を扱うための適性評価の対象が民間にも広がるからだ。プライバシーの懸念も出ているが、国の安全と発展のために不可欠な制度だといえる。
いま国会で議論されている議案の中で、日本のビジネスパーソンも注目しておかなければいけない話がある。
セキュリティ・クリアランス法案である。
この法案の正式名は「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」で、今、通常国会に提出されている。この法案は一部で物議を醸しており、特に野党からは反発の声も上がっている。というのも、この法案の内容は民間企業の従業員などにも決して無関係ではないからである。
セキュリティ・クリアランスという言葉自体は、ニュースで耳にしたことがあるという人は少なくないだろう。そこでこの法案について、私たちに実際どんな影響があるのか、分かりやすく解説してみたい。
そもそもセキュリティ・クリアランスとは、日本語では「適性評価」と訳される。では、何の「適性」を評価するのかというと、日本の機密や極秘の情報を扱う資格をその人に与えていいかという適性を政府が調査するのである。
現在、すでにこの適性評価は一部で行われている。日本では、2014年12月施行の「特定秘密保護法」という法律で定められた「適性評価」をクリアしている人だけが、日本政府が指定する機密や極秘情報を知ったり、扱ったりできるのだ。
今のところ、その適性調査を受けて国家機密を扱う資格を有しているのは大多数が公務員である。この法律はもともと、日本が米国などと共有する機密情報を漏らさないように、米国の強い要請を受けて、当時の安倍晋三政権が野党の強い反発がある中で成立にこぎつけた法律だった。
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