米司法省と全米15州・ワシントンDCは21日、Appleを独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで提訴した。スマートフォン市場におけるiPhoneの支配的地位を利用して競争を阻害し、規模で劣る競合他社に不利益を与え、価格上昇を招いたとしている。
ガーランド司法長官は声明で「企業が独禁法に違反しているために消費者が高い価格を支払う必要はない。この状況を放置すれば、Appleのスマホ市場における独占がさらに進むことになる」との認識を示した。
司法省は、iPhone価格が最高1599ドルに達し、Appleは業界内のどの企業よりも大きな利益を上げていると指摘。
また当局者によると、Appleはソフトウエア開発企業やクレジットカード会社、さらには競合のGoogleなどさまざまな企業に水面下で支払いを課しており、これが消費者が支払う価格の上昇を招き、Appleにもたらす利益を押し上げているという。
同省はAppleが外部アプリとの連携に門戸を開いて利用者の選択肢を広げ、従来のビジネスモデルを見直すことを望んでいる。
株価は4.1%安の171.37ドルで終了した。
Appleは司法省の主張を否定。声明で「この訴訟はわれわれの存在と、熾烈(しれつ)な競争市場においてアップル製品を際立たせるという当社の基本理念を脅かす」とし、争う構えを鮮明にした。
米当局はこれまでに米Alphabet(アルファベット)傘下のGoogle、Meta Platforms、Amazon.comを提訴しており、Appleもこれに加わった。
ホワイトハウスのマイケル・キクカワ報道官は「バイデン大統領は反トラスト法の公正で強力な執行を強く支持している」とコメントした。
ある当局者は「構造的な救済も衡平法による救済措置の一種」と述べ、Appleの分割や規模縮小が選択肢となる可能性があることを示唆した。
ニュージャージー州の連邦地方裁判所に提出した88ページに及ぶ訴状は「Appleの反競争的かつ排他的な行為からスマホ市場を解放し、スマホ価格や開発者手数料の引き下げと将来に向けた技術革新の維持のために競争を回復すること」に主眼を置くとした。
司法省はAppleが競合他社を妨害するために自社製品を不便にしていると指摘。例えば、競合するメッセージングアプリやスマートウオッチをAppleのスマホでスムーズに動作させることを難しくしたという。
裁判所に対し、Appleがアプリ配信サービスなどを通じて競合他社を弱体化させることを阻止するよう求めた。
Appleは欧州、日本、韓国でも独禁法関連の調査や命令の対象となっている。ロイター通信は21日、Apple、Meta、Googleが欧州連合(EU)の「デジタル市場法(DMA)」を順守しているかどうかについて調査を受ける見通しと報じた。
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