豊洲市場に人が集まっているのに、なぜ築地場外市場は今もあるのか:魚ビジネス(1/5 ページ)
豊洲市場には、日々人が集っています。一方、築地場外市場にもたくさんの人が集まっています。豊洲市場移転の際、「築地がなくなる」という声を聞いたことがあるような……。
豊洲市場には、日々、人が集まります。東京都によれば豊洲市場の水産部門に関わる事業者は、令和2年(2020年)4月1日時点で卸業者7、仲卸業者481、関連事業者が147、売買参加者289となっています。
これに加えて、買出人や観光客も多く押し寄せる豊洲市場。かつて、築地市場の時代には多い時で1日4万人以上の来場者があるとも言われました。
豊洲市場には、魚だけでなく、なぜこんなにも人が集まるのでしょうか。これは、豊洲市場が水産物の一大「物流」拠点であると同時に、一大「商流」拠点であることが理由になっています。
豊洲市場には、人だけなく魚も集まってきますが、実は取引されているのに集まってこない魚もあります。どういうことかというと、注文は豊洲市場で受けるのですが、モノは違うところにあり、そこから直接相手先に届けられるというパターンがあるのです。
このように流通は、モノの流れである「物流」と商的な流れである「商流」に大別されます。
私が2007年に築地市場の卸売会社に勤めていた頃、先輩社員に「これからは、モノは郊外にある保管賃の安い冷蔵庫に置きながら、築地で商談だけを行う時代が来る」と言われたことがあります。この話のように、やろうと思えばオンライン上でもどこでも、人が集まって商談する場を設け、そこを商流の拠点とすることは可能です。
そして、物流は別で組み立てる。ICT(情報通信技術)の進んだ現代ならそんな世界があっても良いはずです。
しかし、豊洲市場は現在でも物流の拠点でもあり、商流の拠点でもあります。一体、なぜでしょうか。
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