新聞販売店の倒産が過去30年で最多に ネット広告へのシフトや人件費増加が原因
東京商工リサーチの調査で、23年度の新聞販売店の倒産は39件と前年度と比べ56.0%も増加し、過去30年間で最多を記録したことが分かった。
新聞販売店が存続の危機にさらされている。東京商工リサーチ(東京都千代田区)の調査によると、2023年度の新聞販売店の倒産は39件で前年度と比べ56.0%も増加したことが分かった。年度最多だった14年度の30件を上回り、過去30年間で最多を記録した。
倒産形態はすべて「破産」
倒産形態は、39件すべてが消滅型の「破産」だった。さらに23年2月は月間で10件も発生し、14年5月と並んで月間最多を記録した。
原因別では?
原因別でみると、「販売不振」が最多の30件(前年度比42.8%増)と全体の76.9%。次いで、赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が6件(前年度なし)だった。この2つの原因が合わせて36件(同71.4%増)と9割以上を占めている。
一般社団法人日本新聞協会が公表する23年の新聞発行部数(各年10月時点)は2859万486部で、04年の5302万1564部から20年で約半分(46.0%減)に減少した。1年前と比べても、約225万部も減少している。
ネット媒体の情報発信が拡大した構造的な問題に加え、配送にかかる燃料費や人件費などのコストアップが経営を直撃した。さらにネット広告へのシフトで折り込みチラシでの収入が落ち込み、新聞社からの補助金やゼロゼロ融資などの資金繰り支援で耐えていた新聞販売店も多い。
倒産や廃業が増えるなか、販売店の統廃合も加速していて、全国の新聞販売所数は04年の2万1064店舗から、23年は1万3373店舗へ減少している。
東京商工リサーチは「購読者数が伸び悩み、専売店から複合店、合売店への業態変更などの対応を迫られるなか、支援効果の薄れとともに新聞販売店の倒産、廃業は増勢をたどることが懸念される。経営体力が脆弱(ぜいじゃく)な中小・零細規模の新聞販売店の市場退出に歯止めが掛かっていない」と話した。
本調査は、日本産業分類の「新聞小売業」の倒産(負債1000万円以上)を集計、分析した。
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