なぜ「案内所+バス」にベッドを置いたの? 東海バスが宿泊施設を始めた背景:「次の駅まで」に読めるハナシ(1/3 ページ)
小田急電鉄グループの傘下で路線バスを運行する東海自動車が宿泊施設をオープンした。バス会社がなぜ畑違いの事業を始めたのか。取材したところ……。
えっ、そこに泊まるの?――。そう感じるホテルが、日本にもいくつかある。
アラビア文化を体験できるところであったり、モンゴルの遊牧民が使っている「ゲル」に泊まれたり、自転車に乗ったままチェックインができたり。このほかにも、ユニークなホテルがあるが、またひとつエッジがたった宿泊施設が登場した。その名は「ばすてい」だ。
小田急電鉄グループの傘下で路線バスを運行する東海自動車(以下:東海バス、静岡県伊東市)が運営していて、施設の特徴はバスの案内所を改装したこと。築74年の「宇久須(うぐす)案内所」を閉鎖するにあたって、「取り壊すのはもったいないよね。何か新しいことはできないかなあ」といった発想から生まれたものだ。
「ばすてい」がオープンしたのは、2023年11月のこと。このスペース(床面積は71.9平方メートル)にどんなモノを追加すれば、宿泊施設として機能するかを議論して、同社の担当者は次のようなカタチに変更した。
待合室だった場所は手をほとんど加えず、飲食ができるダイニングルームに。案内所のカウンターと事務所だったところに調理器具を備えたキッチンにしたことで、宿泊者は食材を持ち込んで調理を楽しめるようにした(事前に予約すれば、海の幸を盛り込んだ食材セットも可能)。また、倉庫として使っていた部屋をベッドルーム(ベッド2台)にして、浴室やトイレなどを設置した。
「案内所に泊まれるようにしただけなのね。インパクトがちょっと足りないのでは?」などと思われたかもしれないが、実は案内所の横に路線バスを設置している。バスは1999年から2023年4月まで、実際に東海バスで走行していたもの。「通常、古くなった車両は廃車にするケースが多いのですが、案内所の隣にバスを停めることで、さまざまな体験を提供できるのではないかと考えました」(同社事業部の土屋咲季さん)
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