デザインの作り込みは無駄!? 売れる提案書を作る「CLEAR」の法則に迫る(2/2 ページ)
営業パーソンにとって「提案資料」は商談時の意思決定を後押しする重要な存在だ。実は、売れる提案資料には共通した法則がある。本記事では、売れる提案資料に必要な要素と、実際の作成時に重視すべき5つのポイントを紹介する。
資料の構成力を高める「CLEARの法則」とは?
構成力の高い提案資料を作成するために役立つのが「CLEARの法則」だという。CLEARは「Context・Logic・Evidence・Action・Review」の頭文字だ。この5つのポイントを押さえることで、構成力の高いコンテンツ作りが可能になる。
Context(文脈)
CLEARの法則は、「Context」「Logic」「Evidence」「Action」「Review」の順に考える。
Contextは文脈を意味する。顧客の情報を整理し、顧客自身やその課題、背景などに対する解像度を高めることで、相手の知りたい情報がクリアになり、より伝わる提案書の作成が可能になる。
例えば、よくある提案資料ではタイトルを「(製品・サービス名)のご提案」などとしているが、これでは顧客が製品導入後のイメージがわきにくい。ターゲットの解像度を上げて、顧客が知りたい情報をクリアにすることが必要だ。例えば「B2Bリード獲得のトレンドと今後 拡大のために取り組むべき3つのアクション」などに変更したほうが伝えたい内容は分かりやすくなる。
顧客の解像度を高めるには「バリュープロポジションキャンバス」というフレームワークが役立つ。
(1)顧客の課題、利得、悩みを書きだす、(2)自社サービスや製品がそれらの課題に貢献できる部分を検討する――というフレームワークで、資料全体を通して顧客に訴求すべきポイントをクリアにできる。
Logic(論理)
「Logic」は、一般的に知られているロジカルシンキングとほぼ同義である。論理を飛躍させたり、主観的な話をしたりすると、顧客は「なぜこの話に飛んだんだ?」と気になってしまう。顧客の注意が別に向いてしまい、伝えたいことが伝わらなくなってしまうのだ。
顧客の負荷を減らすため、最低限のロジックを押さえて、論理的な提案書を作成する必要がある。
Evidence(根拠)
特に重視すべきは「Evidence」である。実際の導入事例や、満足度、利用者数のような客観的な情報は、顧客の納得感や信頼感を高めるために非常に重要だ。しかし、サービスを立ち上げて間もないなどの理由から、Evidenceの収集に苦労する企業も多い。
渡氏は「Evidenceはたとえ創業期であろうとそろえられるものだ」と指摘する。例えば、アンケートツールの活用。自社製品の満足度調査など、提案内容を補強するような内容のアンケートを実施することで、実績がない段階でも客観的な情報を提案書に掲載できる。
他には、顧客事例の作成も効果的だ。事例紹介で重要なのは「ファクト」と「解像度」を意識すること。顧客のにこやかな写真とともにサービスをべた褒めするような事例紹介も多いが、それでは主観的な情報が多くなり、提案内容に対する読み手の理解は深まらない。
事例紹介では、実際に行った支援内容を詳細に記載。支援の過程でどのようなことが行われていたかを詳細に書くことで、読み手が導入イメージを持ちやすくなる。
他にも、導入企業のロゴを集め、業界や規模ごとにグルーピングすることで、顧客に類似した企業が使っていることを伝えるのも有効だ。
Action(行動)
「Action」では、読み手の次の一歩をクリアにする。コンテンツを読んだ後に、顧客が「ぜひ話を聞いてみたい」「資料内容を実行に移してみたい」と思える構成を考える必要がある。顧客が提案書を読みながら、「自分は今、次に何をすべきか」を明確にイメージできるように仕掛けを作ることが大切だ。
Review(再考)
最後は「Review」である。提案書の作成で「1スライド1メッセージ」が重要なことは多くの人に知られているが、同社が提唱するのは「1プレゼンテーション1メッセージ」である。
商談で話した内容を顧客が全て覚えていてくれるなんてことはほとんどない。サービスの強み、顧客と自社の相性の良さなど、顧客の背景を理解したうえで、伝えるべきメッセージは1つに絞ると、提案書はより伝わるものになるだろう。
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