外資大手「日本に巨額投資ラッシュ」 マイクロソフトの4400億円、オラクルの1.2兆円は日本をどう変えるか:古田拓也「今さら聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
外資系IT大手が相次いで、国内にデータセンター向けの投資を実行すると発表している。この背景と、今後予想される流れについて解説する。
熊本の「TSMCバブル」は、外資系大手企業の日本における巨額投資の序章にすぎない。
1ドル155円を超える34年ぶりの円安相場は、訪日観光客のインバウンド需要を喚起している。インバウンド需要の高まりはそれだけに限らず、外資系企業の日本市場参入という形でも表れている。
TSMC(台湾積体電路製造)の半導体工場が建造される予定の熊本県菊陽町では、TSMCによる「逆・価格破壊」とも呼ぶべき賃金相場の高騰が確認されている。
同社の大卒初任給は28万円、パートタイム労働者においては県内の最低賃金の898円の2倍を上回る時給2000円が提示されている。近辺の飲食店や宿泊施設の価格相場も上がる「TSMCバブル」現象が注目を集める。
この流れはTSMCのみにとどまるものではない。外資系IT大手が相次いで、国内にデータセンター向けの投資を実行すると発表している。この背景と、今後予想される流れについて解説する。
外資大手の巨額投資が相次ぐ
米マイクロソフトは、AI研究開発の基盤を拡充するために、最新のGPUを含む高度なコンピューティングリソースを4400億円相当投資する予定だ。
米オラクルも、日本の子会社を通じて10年間で1.2兆円を投資する計画を発表している。この計画も、AIやその他の技術への需要増加を念頭に置いたもので、主に日本国内のデータセンターの能力を向上させることを目的としている。
国内では従来、データセンターの首都圏一極集中が問題視されていた。国内外の主要なデータセンターは、都内では豊洲・多摩や千葉県印西市などの首都圏か、大阪のような大都市圏に集中しており、災害時のリスク分散が不十分だと指摘されている。
しかし、ここ最近は土地や電力の制約もあって、新たな開発の場として地方都市の重要性が高まっている。
政府は「デジタル田園都市国家構想」を推進しており、地方創生を図る一環として、地方都市におけるデータセンターの開発を奨励し、これらの企業にも補助金を拠出する。
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