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観光業で働く人のためにも「GWは廃止すべき」 こう提言しても、何も変わらなかった理由スピン経済の歩き方(1/7 ページ)

大型連休に入り、観光地を中心に各地で混雑が起きている。筆者は約10年前からゴールデンウィークは廃止すべきと提言しているが、なぜかというと……。

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 ゴールデンウィーク(GW)が始まって各地で混雑や渋滞が報じられている。特に鎌倉や京都など人気観光地は、増加傾向にある外国人観光客に加え、休みが取れた日本人観光客がオンする形で阿鼻叫喚の地獄のようになっている。


東海道・山陽新幹線はGW中の「のぞみ」を全席指定席に(画像提供:ゲッティイメージズ)

 こういう問題が大きな注目を集めるようになったのは、安倍・菅政権が「観光立国」を成長政略に掲げて推進してきたころからだ。それくらいの時期から筆者は、観光を基幹産業としていくために必要不可欠なある提言をさせていただいている。

 それは「GWの廃止」である。

 「国民の休日」を止める代わりに、働く人は1年間のうちどこか自分たちの都合で「連休」の取得を義務化する。子どもは親の都合に合わせて、学校を休んでいいように法整備をするのだ。

 「そんなトンデモ法を認められるわけがねーだろ」というお叱りが飛んできそうだが、これくらいドラスティックな改革をしないことには、GWが日本社会にもたらしてきた「弊害」は解消できない。

 例えば今から9年前、本連載の記事『「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由』の中で、このように指摘させていただいている。

 ゴールデンウィークほど「ユーザー目線」が欠如した制度はない。観光客は大渋滞を強いられるし、飛行機やホテルは「特別料金」をとられるなどデメリットは山ほどあるが、供給者側からするとよいことづくしだ。

まず、価格をつり上げられるのは言うまでもないが、なによりも限定した期間に客が集中するので、人員や食事の材料購入などの計画が立てやすいということがある。つまり、閑散期と繁忙期がハッキリと分かれているので、観光地の宿でも飲食店でも土産物屋も効率的に客をさばくことができるわけだ。

このように「供給者側の都合」が優先される国で、異なる文化や価値観をもつ「ユーザー」が居心地がよくないのは言うまもでない。

 つまり、観光地が大混雑で宿泊費なども高騰する「オーバーツーリズム」も、マナー違反やゴミ問題などの「観光公害」も、「迷惑だかららもうこれ以上日本に来るな」という外国人観光客への排斥ムードも、GWという「人にちっとも優しくない制度」を廃止すれば今よりずっとマシになるのだ。

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