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観光業で働く人のためにも「GWは廃止すべき」 こう提言しても、何も変わらなかった理由スピン経済の歩き方(2/7 ページ)

大型連休に入り、観光地を中心に各地で混雑が起きている。筆者は約10年前からゴールデンウィークは廃止すべきと提言しているが、なぜかというと……。

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GW廃止は「観光業で働く人々」にとってもプラスに

 という話をすると、決まって寄せられるのが「GWで1年分の稼ぎをたたき出すような観光地で働く人々に死ねということか」というお叱りである。だが、長い目で見ると「観光業で働く人々」にとって、GW廃止は賃上げや安定した雇用という待遇の改善につながる。

 テレビでは「外国人観光客が爆買い!」とか「日本人気で宿泊費が高騰」なんて景気のいい話をピックアップしているが、実はその恩恵は経営者でストップして、現場で働く従業員にまで波及していない。

 厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、「宿泊業、飲食サービス業」の賃金(257.4万円)は全産業の中で最も低い。世界中からやって来る外国人観光客を「おもてなし」しているのは、実は日本で最も低賃金で働いている人たちなのだ。


産業別賃金および対前年増減率(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)

 では、なぜ「日本の素晴らしさを世界に発信する」人たちの給料が安いのか。理由はシンプルで、観光業というのは日本のあらゆる産業の中でも突出して「非正規雇用」が多いからだ。

 総務省の「労働力調査」によれば、2022年の宿泊業雇用者の中で非正規雇用者の割合は54%に跳ね上がる。さらに細かく見ていくと、2023年7月は非正規雇用の割合が約6割に達する時もある。


年齢階級別非正規の職員・従業員の割合の推移(出典:総務省「労働力調査」)

 日本の全産業で非正規雇用の割合は約37%なので、この産業が「異常」というほど非正規の低賃金労働者に依存をしていることが分かる。

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