カプコン『スト6』とコラボ 愛知のテーマパーク「ラグーナテンボス」の誘客戦略(2/3 ページ)
カプコンはなぜラグーナテンボスとのコラボを決めたのか。『ストリートファイター6』のプロデューサーを務めるカプコンの松本脩平さんと、ラグーナテンボスの近藤孝取締役に狙いを聞いた。
USJの外部コラボがヒントに
――近藤取締役に伺います。ラグーナテンボスは、どんな作品とコラボしてきたのでしょうか。
近藤: 今回のように他社IPとコラボする企画は、実は20年ぐらい前から力を入れています。これまでも『鬼滅の刃』や『ONE PIECE』『ナルト』『妖怪ウォッチ』など、さまざまな作品と組んできました。3、4年に1回くらいは爆発的な集客につながることがあり、3万〜5万人くらい集客してきました。
さまざまなIPとのコラボを継続的に続けることで「ラグーナテンボスは旬のIPと組んでコラボする施設」というイメージが定着しつつあります。われわれも、新しい人気コンテンツと積極的に組んでいきたいと常々思っています。
――こういったテーマパークであれば通例、自分たちでブランドを作り上げる向きが強いと思います。こういった中で、外からIPを招く戦略はどのようなところから始まったのでしょうか。
近藤: 当初はやはり海のテーマパークということで、例えば「海のシルクロードで貿易されてきたもの」というテーマに絞った展示などに、こだわってきた時期もありました。ただ、それだと一般の方にはなかなか浸透せず、集客力も弱い部分がありました。社内でも、外からIPを入れることへの抵抗はもちろんあり、議論自体はずっと続けてきました。転機となったのは、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が、ユニバーサル映画だけでなくさまざまな作品と組むようになった点です。これが戦略的に励みになった影響は大きいですね。
一方で、われわれ以外にも、テーマパークが他社IPを取り入れようとする動きは全国的に盛んになってきています。今回のようなコラボをする場合、版元側としては基本的に1業種につき1社だけと組もうとする考えが強いですから、「早い者勝ち」になる側面もあります。同業のテーマパークとIPの取り合いになることも珍しくありません。今組ませていただいている『葬送のフリーレン』も、私たちは大分早い段階から交渉を進めていました。
――どういった作品がこれから流行りそうか、ウォッチする担当の人が社内にいるということでしょうか。
近藤: 社長の小寺を含む、6〜7人いる企画部をはじめ社内総勢で常にアンテナは張っています。「最近どんな漫画を読んだ?」といった会話は常にしています。それで「次はこの作品がいけそう」という話は、アニメ化する前から目星を付けている場合もあります。
――コラボを決める際に、重視していることは?
近藤: ラグーナテンボスの主要客はファミリー層です。ですから、その作品が家族で楽しめるコンテンツかどうかは大事にしています。一時期アイドルのイベントを園内で実施した場合には独身の方が多く、イベントだけの目的で来場される方が少なくありませんでした。
ファミリー層をターゲットにすることで、イベントと園内のアトラクションやイルミネーションも一緒に楽しんでくださる方が多くなります。そうなると、顧客にもラグーナテンボスに来場した価値が上がると思います。こういった相乗効果は意識しています。
――その点、「ストリートファイター」シリーズも今や2世代以上で遊べる作品と言えそうですね。
近藤: 親子で楽しむ方も多い作品だと思っています。実は私もゲームが大好きで、前職はゲームメーカーのタイトーにいました。タイトーは今『スト6』のアーケード版を展開しています。不思議な縁を感じています。
松本: 縁ですね。
近藤: 他にも、今回組ませていただいたJR東海さんも、前はラグーナテンボスの株主でした。弊社は今HISグループにいるのですが、ここまで大きなコラボ企画をJR東海さんと実施できたのは初めてになります。すごくやりがいのある企画だと感謝しています。
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