いきなり!ステーキが、名物「オーダーカット」を廃止していた! ピークから5年、経営再建の現在を探る(2/3 ページ)
いきなり!ステーキが再建を目指している。栄華を誇ったころから5年ほどがたった現在は、名物だったオーダーカットがなくなっている。これまでの歴史と、現状の取り組みなどを解説していく。
日本人とステーキは相性が悪い?
「ごちそう」という認識の強いステーキ、それも本格的なものが2000円前後で食べられるのは当時珍しかったのだろう。この「安さ」と「手軽さ」が人気を呼んだ要因と考えられる。2017年前後をピークとする、糖質制限ダイエットのブームも追い風となったといわれている。しかし、コロナ禍もあってピーク直後からすぐに業績は悪化。2019年12期から21年12期までの業績は次の通り縮小した。
売上高:約571億円→約269億円→約175億円
国内店舗数:490→287→226
実は、ピーク時の2019年12月期の時点で、既に業績悪化の兆しは見えていた。2017年度の既存店売上高は前年比で120%を超えていたものの、2018年度には96%ほどに減少し、2019年度には70%を下回った。客数も前年比124%→96%→72%と推移しており 、明らかに客足が遠のいている。
決算資料によると、客足の減少についてペッパーフードサービスは過剰出店による自社内競合の発生が原因としている。つまり、需要以上に出店を増やしたため、同じチェーンで客の奪い合いが起きてしまった、というわけだ。
とはいえ、単にいきなり!ステーキ自体が飽きられてしまったという要因も考えられるだろう。前出の一瀬氏は、「回転寿司のように『いきなり!ステーキ』も文化になる」と公言していたようだが、消費者の間で定着しなかった。
そもそも日本の消費者にはステーキを頻繁に食べる習慣がない。そんな中で毎日・毎週のように客をリピートさせるのは至難の業だったといえる。
日本人にとってステーキは重たい印象がある。リサーチ業務を手掛けるマイボイスコムが2019年に実施した調査では、月1回以上ステーキ店を利用する人はわずか1割ほどであり、年1回以下でも25%ほど、さらに3割超はそもそも「利用しない」と回答している。市場全体のパイが小さい中で500店舗近くも出店するのは無理があったのではないか。
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