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これからのエンジン開発、どうなる?池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/6 ページ)

猫も杓子もEVシフトというブームも終わり、ようやくEVの地に足がついた着実な進歩が認められる時代になった感がある。そしてBEV以外のカーボンニュートラルプランが必要になってくる。そのエンジンとは一体何か?

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 猫も杓子もEVシフトというブームも終わり、ようやく地に足がついたEVの着実な進歩が認められる時代になった感がある。なんでもかんでも「破壊的イノベーション」という流行り言葉になぞらえて、やれ急激なEVシフトだの、内燃機関の終わりだのと言っていたことがどうも現実的ではないということが、世の中の標準認識になりつつある。

 別にEVシフトはこれで終わるわけではなく、おそらくは2035年に向けて、シェアで最大30%程度まではゆっくり地道に進んでいく。EVを快適に使うには自宅に普通充電器があることが必須。もしくは勤務先かどこか、常用するパーキングに長時間占有できる普通充電器があることが条件になる。


バッテリーを最大活用しようと思ったら、自宅で充電できる設備は必須だ(提供:ゲッティイメージズ)

 これは今のバッテリーと急速充電器では、80%までしか充電できないからだ。100%まで充電するには普通充電器で時間をかけてゆっくり入れるしかないし、となれば、その充電器は他に誰とも共有しない占有可能な充電器でなければならない。常に共有の急速充電器しか使えないと高価で希少な原材料を多量に使ったバッテリーの20%を死蔵することになってしまう。

 ユーザーにとっては航続距離の20%減少という看過できないデメリットなので、おそらくは賃貸住まい、あるいは月極駐車場を利用する人たちのほとんどはEVユーザーにはなれない。総務省統計局の調査では、2018年の戸建て比率は全国平均で53.6%。その戸建てだって敷地内に駐車場があるとは限らない。まあざっくり半分。残る半分の人は、標準的賃貸住宅の電源設備が大幅に更新されるまではEVユーザーになれる可能性がほとんどないことになる。

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