これからのエンジン開発、どうなる?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/6 ページ)
猫も杓子もEVシフトというブームも終わり、ようやくEVの地に足がついた着実な進歩が認められる時代になった感がある。そしてBEV以外のカーボンニュートラルプランが必要になってくる。そのエンジンとは一体何か?
CNFにはいろいろな種類があるが、最も現実的なのはバイオエタノールである。すでにブラジルでは普通にスタンドで売られている。値段もガソリンとさほど変わらない。というかリッター当たり単価でいえばむしろガソリンより安いことが多い。ブラジルでクルマを売っている世界中の自動車メーカーはすでに全ての新車について、ガソリンでもバイオエタノールでも対応可能なフレックスフューエル化している。ガソリン100%でもバイオエタノール100%でも走れるだけでなく、給油の都合で注ぎ足しで混ぜても使用可能だ。
そしてブラジル政府は、バイオエタノールを国内需要の6倍まで増産可能といっている。バイオエタノールとはつまりアルコールなので、酒の原材料になるものなら何からでも作れる。暑いブラジルではサトウキビから作るが、日本の北海道なら甜菜(砂糖大根)から作ればいい。食用ではないから美観を気にする必要がない。虫食いもOKなら曲がりも傷もOK。機械化農業で雑に作れる可能性があり農業振興にもつながる。
ドイツでも2010年から、バイオエタノールを10%添加したガソリン「E10」を販売している。2012年以降にドイツで販売されているガソリン車はすべてE10に適合している(Vertragt mein Auto den Super E10-Kraftstoff?)
もちろんマルチパスウェイはここでも効いてくる。病害などのリスクを考えれば材料となる作物は多様化すべきだ。トウモロコシや小麦、米、といったポピュラーな穀物以外にも、キビやアワなどの雑穀、もっといえば、建築廃材や食品廃棄物、家畜の糞尿、下水の汚泥など、腐る(発酵する)ものならなんでも材料になる。それぞれが適地で作ればいい。さらにいえば再生可能エネルギー由来の水素から作るe-FUELという選択肢もあるだろう。これはまた適地の話があるのだが何度か書いているし長くなるので割愛する。
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