2015年7月27日以前の記事
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これからのエンジン開発、どうなる?池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/6 ページ)

猫も杓子もEVシフトというブームも終わり、ようやくEVの地に足がついた着実な進歩が認められる時代になった感がある。そしてBEV以外のカーボンニュートラルプランが必要になってくる。そのエンジンとは一体何か?

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内燃機関の未来

 さて、そうしてCNF時代の内燃機関という話になれば、開発すべきエンジンはおそらく2種類ある。まずは発電用エンジンである。日産のe-POWERや、マツダのロータリーEVは、発電用エンジンと発電機を動力源として、駆動は100%モーターである。こうしたシリーズハイブリッド用の発電専用エンジンには今後大きな進歩が期待できる。


シリーズハイブリッドの代名詞である日産の「e-Power」システム概念図

 定格でしか運転しないため、全域でのエンジン性能が不要。当然高回転の許容も必要ない。2000回転からせいぜい3000回転が関の山。吸排気効率はピンポイントで定格運転域に最適化が可能になる。

 吸排気は気体の脈動の影響を強く受ける。系全体には本来固有の周波数があり、吸気ならば吸気管系の長さと容積で効率の良い回転域が決まる。トロンボーンが管の長さと容積を変えて音の高さを変えるのと同じなのだ。

 レース用のエンジンのパワーアップを追求すると特性がピーキーになるのはそういう理由で、それをなんとかして全回転域で良くしようとするから技術的に大変な上に、いろいろな妥協が発生する。運転回転数が決まってくれれば、圧倒的に楽に効率を向上できる。

 許容回転数が圧倒的に低くなるため、当然クランク、コンロッド、ピストンなどのムービングパーツの強度も落とせるし、シリンダーブロックやヘッドも同様。バルブスプリングも柔らかくできるので、損失が減る。要するに「絶対に駆動しない」と割り切り、発電専用エンジンとして設計すれば、従来のエンジンの常識を覆す、軽量コンパクトで低燃費、かつ低コストなエンジンができる可能性がある。

 モーター直結で変速機を持たないシリーズハイブリッドが効率良く稼働するのは時速80キロまでといわれているので、主にエントリークラスのクルマ用ということになるだろう。


マツダのBEV「MAZDA MX-30 Rotary-EV」にレンジエクステンダー的に搭載されたロータリーエンジン「8C」。コンパクトさがウリだ

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