逆求人の「OfferBox」はなぜ伸びているのか 人気の秘密は反「数打ちゃ当たる理論」:就活生25万人が利用(4/5 ページ)
就職活動の日々を送る大学生も多いだろうが、学生はどのようなサービスを利用しているのか。その昔、学生が企業にエントリーして内定を得るという流れが多かったが、いまは違うようで……。
「OfferBoxでなければ、絶対に出会えなかった会社へ就職できた」
制限を設けたことで、オファー1通あたりの熱量は高くなった。そんなオファーが届くことは、学生側の意欲や仕事の可能性を広げることにも一役買っている。「OfferBoxでなければ、絶対に出会えなかった会社へ就職した」という事例も多数あるという。
例えば、語学が堪能で英語を使った仕事を探していた学生がオファーを受け、就職を決めたのは包丁メーカーだった。海外から高く評価されるメーカーだったこともあり、翻訳ができる学生を探していた企業と見事にマッチングした。
包丁メーカーと英語を扱える学生という、一見すると繋がりがなさそうな企業と学生の間にも縁が生まれている。
利用する学生からは、「就職活動では、断られる理由がわからないことが多く、自信をなくしやすいが、OfferBoxは知らなかった企業から自分を評価してもらえる。この体験は自信になる」といった好意的な声が多い。
こういったポジティブな意見もあり、学生ユーザーの半分は口コミ経由での登録だ。「一斉にはじまる就職活動は学生間で口コミが広がりやすい傾向がある。ポジティブな口コミが広がるよう、いいサービスを作ることにこだわった」(中野氏)
新卒採用市場におけるトレンドの変化
新卒採用における学生の仕事の探し方は、過去から変化しつつある。
「数年後の転職を前提とする学生が増えた。1社目を選ぶハードルは下がり、エントリー数も減少傾向にある。仕事の探し方は変わりつつあるものの、インターンで理解度を高めて入社する学生も多いことから、就職先を大事に選択しようとする考え自体は変わっていない」
リクルートの調査によると、若年層にとって転職することが当たり前となりつつある。今の会社で定年まで働き続けたいと考える人は、Z世代(26歳以下)の約2割にとどまり、10年以内の転職を検討する人が7割を超えた。
最初に入社した会社で長く働くという考え方は少数派となりつつあり、「いつか転職する」というマインドを持つ人が増えていることがうかがえる。
一方、企業側の新卒採用に対するマインドはどう変化したのか。人的資本経営の考えが浸透したことで新卒採用の重要性が増していることに加え、今後も予測される人手不足、これら2つの観点から新卒採用に対する積極性は毎年上がってきていると中野氏は分析する。
「学生数も減少しており、就職ナビへの掲載や合同説明会で人材を呼び込む従来の手法だけで新卒採用を実現するのは難しくなっている。『採用を科学する』という考えで戦略を見直そうと、新たなツールや手法を導入しようとする意識が強くなった」
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