病院内で「スクラブ」が増えているのはなぜ? 医療ドラマが映し出す“いま”:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
病院内でTシャツのようなモノを着ている人が増えてきた。半袖で首元がVネックになっていて、「スクラブ」と呼ばれている。以前は手術のときに着ている人が多かったのに、なぜ?
1本の糸を顕微鏡で分析
スクラブを着ている人が増えてきた。市場が盛り上がっているということは、それを仕掛けている会社が存在しているはず。これまでになかったモノを開発していたり、マーケティングに注力していたりするのではないか。
気になったので調べたところ、医療用のアパレルを手掛けていて、売り上げを伸ばしている会社があった。その名は「クラシコ」(東京都港区)である。
同社は2008年に会社を立ち上げて、その後、売り上げを伸ばし続けている。広報担当者に尋ねると「創業から16年で4640.8%の成長を遂げています」というが、イメージがわかない人もいるかもしれないので、直近の数字を紹介しよう。2023年度の売り上げは、対前年比140.5%である。「病院=閉じられた世界」といったイメージがあるが、クラシコは売り上げをどのようにして伸ばしてきたのか。
同社が誕生したきっかけは「たまたま」である。IT企業に勤めていた創業者が中学の同窓会に出席していたときのこと。友人の医師が「白衣を着ると、ものすごくモチベーションが低下する」と言っていたので、ネットで調べたところ、白衣はペラペラなモノしかないことが分かってきた。
気になったのでアンケートを実施したところ、医療従事者の8割が「白衣に不満を持っている」と回答。この結果を受けて、オーダースーツの職人をしていた友人と一緒に「かっこいい白衣」をつくることに。会社で働きながらスーツのようなデザインの白衣をつくって、ECサイトで販売したところ医師から注文や問い合わせが多かった。手応えをつかんだこともあって、会社を立ち上げたのだ。
自社でつくった商品を医療従事者に販売する。いわゆるD2C(Direct to Consumer:お客に直接自社製品を販売すること)の商売をしていて、同社はお客の声を聞いて、聞いて、聞きまくった。「こういった素材の白衣がほしい」「このデザインのスクラブがあればなあ」といった声があれば、研究である。
お客の要望に対して、適しているものはどれか。「この服の素材はどうかな」といったあたりをつけて、糸をほぐしていく。1本1本の糸を顕微鏡で分析して、白衣やスクラブに生かしていった。新しい素材を生み出すために、1年半ほどの時間がかかることは珍しくなく、何度も何度もトライアンドエラーを繰り返して、商品を完成させているという。
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