病院内で「スクラブ」が増えているのはなぜ? 医療ドラマが映し出す“いま”:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
病院内でTシャツのようなモノを着ている人が増えてきた。半袖で首元がVネックになっていて、「スクラブ」と呼ばれている。以前は手術のときに着ている人が多かったのに、なぜ?
クラシコの強みは2つ
クラシコの歴史をざっくりと紹介したわけだが、そこからこの会社の強みを感じ取った人もいるかもしれない。2つあって、1つは「聞くチカラ」である。
新規参入ということもあって、「現場のことを知りたい」「話を聞いてみたい」という気持ちもあったわけだが、それだけではない。「聞くチカラ」が強みになったのは、D2Cのビジネスモデルが影響している。
いまでこそECサイトで商品を販売することは当たり前のことであるが、当時は違った。ネットで「白衣」を検索しても、「コスプレ用の白衣が検索の上位に並んでいました」(クリエイティブチーム兼PRの米久哲平さん)
そうした状況だったので、この分野でネット販売に注力しているところは少なかった。他社よりも早くECに取り組み、お客の声を反映させて、商品をつくる。こうしたことを何度も繰り返していくうちに、行動が強みに変わっていったようだ。
2つめは、「素材開発」である。先ほど紹介したように、糸をほどいて1本1本を研究する。お客が求めるモノを完成させるために、時間をかけて商品をつくってきた。こうした作業を繰り返すことで、これまでいくつかのヒット商品を生み出してきた。例えば、「クールテック」シリーズ。「夏の現場は暑く、汗だくになる」という声があったので、ひんやりとした生地を開発したところ、人気商品の仲間入りに。
このほかにもたくさんの商品を開発してきた中で、話題になったアイテムをひとつ紹介しよう。漫画『ブラック・ジャック』のシルエットが描かれたスクラブ(トップスとパンツともに1万1990円)である。ご存じのとおり、手塚治虫の作品で、1973年に『週刊少年チャンピオン』で連載を開始。主人公のブラック・ジャックは無免許にもかかわらず、天才的な外科技術をもっていて「医療とは何か」「命とは何か」を問い続ける作品である。
「えっ、でも、無免許医でしょ。漫画のキャラとはいえ、大丈夫なの?」などと思われたかもしれないが、医療現場で働く人たちは好意的に受け止めているようだ。SNSを見ると「テンションがあがる」「かっこいい、即購入した」といったコメントも。今年の2月に発売したところ、1週間でほぼ完売。1.5倍ほど追加して、4月に投入したところ、再び完売した。
そういえば、作品の中で安楽死の必要性を訴える「ドクター・キリコ」が登場するが、スクラブには描かれていない。患者側の気持ちを配慮したようで、キリコの代わりに「ヒョウタンツギ」を入れることにしたそうだ。
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