令和の今、「根性論」を再定義する 営業パーソンに求められる“バランス感覚”とは?(3/3 ページ)
勘や精神論、根性論、はたまたオレ流の営業は、多くのメディアで旧来型と揶揄(やゆ)され、否定されています。今の時代に根性論は不要なのでしょうか? 今回の記事では、根性論から無駄で無意味な部分を排除し、より大きな成果につなげる要素として有効に活用できないかを考えてみましょう。
根性論を再定義 令和に求められるアップデートは?
とはいえ、旧来の根性論をそのまま適用するのは時代に合いません。ハラスメントなどのモラル面や、well-beingの観点で長続きしないなど、多くの問題が発生するリスクがあります。
現代の営業シーンでは、効率化や有効性との両立が求められます。限られたリソースを最大限に活用し、無駄を排除することが重要ということです。
根性論を現代のビジネス環境に合わせて再定義することは、テクノロジーと人間の能力の間のシナジーを最大化するために不可欠です。現代の営業担当者は、CRMシステム、データ分析ツール、自動化プラットフォームなど、さまざまなテクノロジーを駆使しています。
具体的には、以下のような取り組みが考えられます。
- SFAやCRMなどのツールを活用し、顧客情報を適切に管理する
- AIを用いて顧客データを分析し、最適なアプローチ方法を導き出す
- web会議システムを利用し、移動時間を削減する
- SNSを活用し、顧客とのコミュニケーションを円滑化する
根性は、これらのテクノロジカルなツールを活用する際にも極めて重要です。例えば、データから洞察を引き出し、それをもとに戦略を練るプロセスは、根気が要求される作業です。また、失敗から学び、持続的に改善を続けることも根性なくしては不可能です。
このように、根性論は現代の営業活動においてもテクノロジーと並行して、またそれを補完する形でその価値を発揮します。顧客のために、仲間のために、そして自分のためにテクノロジーをうまく取り入れながら、顧客一人一人と真摯(しんし)に向き合う。そこに営業パーソンの根性が光るのです。
つまり、現代の根性論とは、テクノロジーと人間性の融合といえるでしょう。効率化と人間性のバランスを取りながら、顧客のために尽力する姿勢を指すのです。
営業パーソンに求められる“バランス感覚”
一方で根性を発揮しすぎるとワークライフバランスが崩れる危険性があります。
プライベートを犠牲にしてまで働くことは、長期的に見れば逆効果です。大切なのは、オンとオフのメリハリをつけることです。顧客のために全力を尽くす時間と、自分のために使う時間をきちんと分けましょう。オフの時間は、心身ともにリフレッシュするための大切な時間です。
また、どこまで根性を発揮するかを見極めることも重要です。顧客のために頑張ることと、無理難題を抱え込むこととは違います。自分の能力の限界を知り、「ノー」と言えることも必要不可欠な要素です。
一時的ではなく、長期的に活躍できることが営業パーソンにとって本当に大切なことです。そのために、根性論とワークライフバランスの最適な組み合わせを見つけていくことが求められます。自分なりの、持続可能な根性論を構築していくことが重要なのです。
いかがでしたか? 営業における根性論は、現代に合わせてアップデートされるべきものです。テクノロジーを活用しながらも人間らしさを失わないことと、長期的視点を持ち、ワークライフバランスの維持にも配慮する必要があります。
そうした現代的な根性論を追求する営業パーソン像が、これからの時代に求められているのではないでしょうか。根性論の本質を理解し、バランス感覚を養いながら実践することが、これからの営業パーソンの在り方なのかもしれません。
新しい時代の根性論を、自分なりに体現してみてはいかがでしょうか。きっと、営業パーソンとしてのさらなる飛躍につながるはずです。
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