「富士山ローソン」問題 黒い目隠し幕にたくさんの穴、なぜ区分けしなかったのか:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
山梨県富士河口湖町にある“富士山ローソン”の向かいに設置した「黒幕」に、穴が開けられていたようだ。この不毛なイタチごっこを見ていると、日本がなかなか「オーバーツーリズム」を解決できない理由がよく分かる。なぜかというと……。
海外メディアの反応
今回、富士山ローソン問題や黒い目隠し幕について、米CNNなど海外メディアが報道している。もちろん、親日家たちは同情するし、日本の肩を持つだろう。だが、中にはこのような対応を良くないと考える人たちもいる。例えば、『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員のレジス・アルノー氏も、『「富士山を黒幕で隠す」日本のダメダメ観光対策』(東洋経済オンライン 2024年6月)という記事で今回の対策を痛烈に批判している。
「問題が発生したから、外国人観光客に写真を撮らせなければいい」という発想でオーバーツーリズム対策をしていけば、「問題が発生したから外国人観光客に罰を与えればいい」「問題が発生したから外国人観光客を締め出せばいい」など、安易な外国人排除の道に傾倒しやすいという危険性もある。
日本は「移民政策」が現実的には難しく、進まない。というか、低賃金と人手不足がここまで深刻になる中で絶対にやってはいけない「破滅の道」だ。
しかし、人口減少はストップがかからないのも事実で、日本経済を支えているのは「内需」であって、しかもGDPの7割はサービス業だ。ということは、消費者は海外から来てもらうしかない。そういう意味では外国人観光客という「短期移民」こそが、移民政策をしない日本の有力な選択肢だ。
短期間だけ日本にやって来る外国人に「マナーを守れ」「日本のやり方に従え」と喉を枯らして叫んでいても労力がかかるし、コストもかかる。しかも、これまで説明したように「効果」が乏しい。
だったら、その外国人を1カ所に集中させているのではなく、さまざまな観光スポットに分散させたほうが有名観光地以外にもお金が落ちるし、ゴミや混雑問題も解消できる。
「観光」というものを日本の基幹産業へと押し上げていくためにも、そろそろ体育会系ノリのマナー連呼はやめにして、ゾーニングを国家戦略にすべきではないか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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