売れ筋コスメの「国産回帰」が顕著に 今も韓国メークが流行っているのに、なぜ?(2/2 ページ)
美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営するアイスタイル(東京都港区)は、「上半期新作ベストコスメ」を発表した。長引く物価高を背景に、人気コスメにある変化が起こっているという。
化粧品業界に「国産回帰」の動き
トップ10の商品をメーカー所在地別に見ると、ある傾向が見えてくる。10商品のうち、9商品が国産ブランドなのだ。アイスタイルは2017年から上半期ベストコスメアワードを発表しているが、「今回ほど国産ブランドがランクインした年はなかった」(アイスタイル リサーチプランナー)という。
国産ブランドがランキングをほぼ独占した背景に「値上げ」が挙げられる。原材料の価格高騰や円安による輸入コストの増加により、ディオールやシャネルといった外資系ブランドのコスメが相次いで値上げを実施した。@cosmeに寄せられた口コミでも、「値上げする」というワードの出現率が昨対比2.1倍と大きく増加したという。
値上げが続く外資系コスメに対し、手が届きやすい価格と価格以上の質の良さで、国産ブランドのコスメが消費者の注目を集めたようだ。アイスタイルが@cosmeユーザーを対象に実施した調査では、59.4%が「日本の(国産)ブランドに興味がある」と回答。近年人気が高い韓国ブランドと比較すると約2倍、欧米ブランド比では約4倍となった。
国産ブランドに対しては、コスメそのものだけでなく使いやすいパッケージや容器を高く評価する声も寄せられているという。「例えば、総合大賞を獲得したスキンクリア クレンズ オイル アロマタイプには、『ポンプが押しやすい』などクレンジング機能や使い心地以外の口コミがありました」(アイスタイル リサーチプランナー)
また、ランキング10位のケイト「ポッピングシルエットシャドウ」は、ほとんどのアイシャドーにある締め色(濃い目の色)がない。これは韓国発のトレンドメーク「ミュートメイク」を意識した配色であり、消費者からは「国産ブランドからこういうアイシャドーが出るのを待っていた」「国産ブランドで韓国メークができる」といった声が聞かれた。
これまで韓国コスメの台頭や欧州系コスメのブランド力に、押され気味だった国産ブランドのコスメ。消費者からの再評価を受けて、どこまで支持を伸ばせるか注目だ。
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