銀座でなんと3時間待ち! 「アサヒスーパードライ」の新しい店と若者の関係:火曜日に「へえ」な話(4/4 ページ)
1987年に登場した、アサヒビールの「スーパードライ」は今年37歳になる。いわゆるロングセラー商品であるが、会社はある課題を感じている。それは世代交代だ。若い人に飲んでもらうために、どのような取り組みをしているのかというと……。
問題は“その後”である
コンセプトショップを利用しているのは、どのような人なのか。正確に測り切れていない部分もあるとした上で「20〜30代の人が40%ほど。外国人が15%ほど」(山田さん)だという。銀座という土地柄もあって、外国人観光客の利用が目立っているが、若い人の利用は工場とほぼ同じ。どうやら当初の狙い通りに話が進んでいるようである。が、しかしである。
予想以上の人が詰めかけているにもかかわらず、山田さんは「もっと多くの人にゴーライドを体験してもらいたいですね」とつぶやく。「ぜ、ぜいたくな、まだ足りないのか」といった声が飛んできそうであるが、理由を尋ねると納得である。
ゴーライドを楽しむために多くの人が訪れることはうれしいわけだが、問題は“その後”である。先ほど紹介したように、まず2階で没入を体験して、その後は1階または地下で飲食を楽しむという流れだ。ゴーライドは5分ほどで終わって、その人たちがどっと降りてくる。となると、どうなるか。飲食スペースは50席ほどしかないので、ごった返してしまうのだ。
工場の場合は施設がいくつもあるので、順路に従って人がどんどん流れていく。しかし、コンセプトショップの場合は渋滞が起きてしまう。このことは大きな課題として受け止めていて、席を増やしたり、ゴーライドの説明を短くしたり、さまざまな手を打っているものの、決定打はまだ見つかっていない。
「1人2杯まで」「飲食は30分まで」といった条件を設定することもありかもしれないが、コンセプトショップという特性を踏まえると、お客にはできるだけ気分よく帰ってもらいたい。「辛口のおいしさ」を体験してもらうために始めたのに、お客から「辛口の言葉」が返ってきたら……笑えない話である。
ビール会社が没入感を体験できるコンセプトショップを運営するのは、初めてのこと。うまくいくこともあれば、うまくいかないことがあっても当然である。お客がスムーズに流れないという「循環」に悩みがあるわけだが、若い人がたくさん来るという世代交代の「循環」には、ちょっぴり手応えを感じているようだ。
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