2015年7月27日以前の記事
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なぜテールランプがまぶしいクルマが増えているのか クルマづくりに欠けている視点高根英幸 「クルマのミライ」(5/5 ページ)

前走車のテールランプをまぶしく感じることが増えた。平時にリアフォグランプを点灯するのは問題外だが、ブレーキランプの規制変更によるデザイン性の追求という要因もありそうだ。環境性能や安全性だけではなく、周囲に配慮する工夫もますます必要になるだろう。

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自動車メーカーの努力を無にするユーザーも

 また、テールランプを社外品にしているためにまぶしいクルマも存在する。特にトラックではテールランプを改造してたくさん取り付けたり、ステンレスの泥よけやバンパーなどで飾り立てるカスタムを施したりした、いわゆるデコトラが存在する。

 ステンレスの大きな部品、特に泥よけなどの揺れる部品は、後続車のヘッドライトの光を反射して、そのドライバーを幻惑する原因になる。しかし現在のところ、これは規制されていないので、後続のドライバーは防ぎようがない。


改造されたトラックをまぶしく感じる例。テールランプを交換、増設しているだけでなく、ステンレスのボディ後部が後続車のライトを反射する。走行中は振動によって光が揺れ、よりまぶしく感じる(一部加工)

 自車のヘッドライトがギラギラと反射してまぶしいなら、追い越すか、ルートを変更して曲がるか、コンビニにでも入って時間をつぶして、まぶしいクルマから離れるしかない。

 テールランプを純正品から社外品に交換している乗用車も珍しくない。これらの多くはデザイン性で個性を際立たせているが、なかにはまぶしく光る製品もありそうだ。なにしろ全ての社外品が保安基準に適合しているわけではないのだから。

 ドライバーは高齢になっていくと、目の老化現象によりまぶしさを感じるようになるものでもある。しかし若年ドライバーからも、まぶしいテールランプは苦痛という声を聞く。それに日本全体でドライバーが高齢化しているのであれば、自動車メーカーはそうしたドライバーの特性に合わせる工夫も必要ではないだろうか。

 運転がしやすい、乗り降りが楽といった乗員目線の評価だけでなく、周囲のドライバーや交通参加者への配慮も出来てこそ、自動車社会になじむクルマとなる。その要求レベルは環境性能や安全性とともに、これからも上昇していくことになるだろう。

筆者プロフィール:高根英幸

 芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。


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