2015年7月27日以前の記事
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クルマの“顔つき”はどうやって決まる? デザインに表れる思惑とは高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)

自動車のフロントマスクは各メーカーにとって重要な要素だ。ブランド戦略によってその方針は異なる。海外メーカーには、デザインの継承を重視しない姿勢も見られる。一方、国内メーカーも方針はさまざまで、デザインから各社の思惑も見えてくる。

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 街を走るクルマを眺めていると、「いかにもそのブランド」という、分かりやすいフロントマスクのクルマを見かけることが多い。そうかと思えば、同じボディなのに全く異なる顔つきをもつクルマや、同じメーカーとは思えないほど印象が異なるクルマも少なくない。

 フロントマスクはクルマを最も印象付けるものであり、売れ行きを左右するほど重要な要素だ。それだけに自動車メーカーもデザインに力を入れる部分となる。したがって、フロントマスクにはさまざまなメーカーの思惑が存在する。

 端的に言えばこれは、ブランド戦略の違いによるところが大きい。メルセデス・ベンツやBMWといったドイツの老舗メーカーは、伝統を強みにエンブレムやフロントマスクをアイコンとしてブランドイメージを強調するビジネスを展開してきた。


メルセデス・ベンツのSクラスは歴代モデルの全てが堂々としたフロントグリルをもち、風格ある顔つきを演出してきた

 今ではほとんどの自動車メーカーが採用している、ボディ後端のトランクリッド中央にエンブレムを掲げるデザインも、この2大ブランドが始めたものだ。

 日本では、ミニバンや軽自動車などにギラついた大きなフロントグリルを与えたクルマも多い。オラオラ顔とも表現される。堂々とした顔つきを好む層が一定数存在するのだ。こうした文化も元をたどれば、こわもてのドイツ車に憧れるユーザーの心理を利用したものでもあると言えそうだ。


トヨタのヴェルファイア。アルファードとはフロントマスクが異なる兄弟車。どちらも大きなグリルが与えられたLサイズミニバンで豪華で凄みのある顔つきが人気を博している
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