2015年7月27日以前の記事
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クルマの“顔つき”はどうやって決まる? デザインに表れる思惑とは高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)

自動車のフロントマスクは各メーカーにとって重要な要素だ。ブランド戦略によってその方針は異なる。海外メーカーには、デザインの継承を重視しない姿勢も見られる。一方、国内メーカーも方針はさまざまで、デザインから各社の思惑も見えてくる。

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継承なんてくそ食らえ、というブランドも

 ブランドイメージを浸透させるため、共通したフロントグリルなどのデザインを導入するメーカーが多い一方で、世代ごとにイメージを一新して、新しさをアピールするブランドもある。これはフランスの自動車メーカーに多く見られるもので、プジョーやシトロエンはそんな傾向が顕著であるし、ルノーにもそんな傾向が見られる。

 芸術的なセンスでクルマを生み出すお国柄なため、常に斬新さを求め、今までのイメージを自ら打ち壊すことを厭(いと)わない、そんな気概を感じさせるのだ。


シトロエンはダブルシェブロンと呼ぶ歯車の歯の噛(か)み合いをエンブレムとし、それを生かしながらも常に斬新なフロントマスクを生み出している。写真は現行モデルのC3

 イタリアのメーカーはさらに自由で、メーカーとしてブランドイメージの共通化やデザインモチーフの継承なんてどうでもいい、と思っているのではないだろうか。

 フィアットなんてエンブレムもコロコロ変えるくらい、伝統よりもその時のデザイン性にこだわっている印象だ。フィアット500は自身の遺産としてリバイバルされているが、それ以外は先代の面影を感じさせるモデルを見つける方が難しい。例外はアルファロメオの盾型フロントグリルくらいだろうか。


フィアットはかつての名車500をモチーフに、現代によみがえらせている。しかし他のモデルとの共通性はなく、自由なデザイン展開を行うブランドだ

 フェラーリやランボルギーニはスーパーカーとしてのアイデンティティーを確立しており、シルエットやディテールなどで伝統を感じさせる必要があるが、ニューモデルには斬新さも必要だ。そのためにフロントマスクで新しさを印象付ける、というのも定番の手法になりつつある。

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