AIバブルの象徴? NTTが“1000億円規模”を見込んで始める「データセンターREIT」とは:古田拓也「今さら聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
NTTデータがデータセンターを投資先とするREIT市場に参入すると報じられた。REITとはそもそもどのような仕組みなのか。また、NTTデータが「今」参入する理由とは? 背景を踏まえて解説する。
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NTTデータがデータセンターを投資先とするREIT(Real Estate Investment Trust、不動産投資信託)市場に参入するというニュースは、昨今のAI分野の加熱ぶりを象徴していると言えるだろう。
NTTが今後5年間でデータセンター、AI、その他の成長分野に約8兆円(約590億ドル)を投資する計画の一環だ。同社によれば今後、データセンター向けの不動産物件について、1000億円規模のREITを組成するという。
NTTは今後、AIなどの成長分野に約8兆円を投資する計画だ(NTTの中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN」より引用)
REITとはそもそもどのような仕組みなのか。また、NTTデータが「今」参入する理由とは? 背景を踏まえて解説する。
公募されるのか? REITの基本的な仕組み
そもそも、REITは、不動産に投資することで得られる収益を投資家に配当する仕組みを持つ証券化商品だ。一般的なREITは、「商業不動産」や「賃貸物件」といった一定のテーマのもとで複数の不動産に分散投資してリスクを分散し、安定した収益を目指す。
今回、NTTデータが組成するデータセンターREITは、主に国内外のデータセンターに投資する。デジタル時代において、データインフラの重要性は増している。クラウドコンピューティングやビッグデータ、AI、IoTの普及に伴うデータセンターの需要増加に対応するものだ。
NTTデータは、すでに自社において200以上のデータセンターをグローバルに有している。REITを通じて金融市場においても存在感を強め、自社の業績向上に活用していくとみられる。
なお、REITには「上場REIT」と「非上場REIT」がある。上場REITは証券取引所で取り引きされ、投資家は自由に売買可能だ。
最も有名な上場REITといえば、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなどの収益分配を受けられる森ヒルズリート投資法人であろう。1口当たり13万1100円から投資可能で、下手な上場企業の単元株よりも最低投資価格が小さい点がメリットだ。
ただし、REITはあくまで不動産に投資する商品で、実際に不動産の所有権を有するのは投資法人である。投資家に物件の所有権はないため、REITを保有していてもいわゆる「株主=オーナー」という関係性ではない点には注意が必要だ。森ヒルズリート投資法人に投資しても、六本木ヒルズのオーナーになるわけではない。
一方、非上場REITは公開されていないため、流動性が低く、主に機関投資家や高額資産を持つ個人投資家を対象としているとみられる。NTTデータのデータセンターREITを一般の投資家が購入できるのかは、現時点では明らかではない。しかし、NTT系では秋葉原UDXを含むNTT都市開発リート投資法人が上場していることもあり、話題性や需給によっては幅広い投資家層に向けて公募される可能性もあり得る。
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