街中でEV車はそれほど見かけないのに、なぜ「使われない充電器」がたくさんあるのか:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
EV充電器のインフラ整備ビジネスが盛り上がっているが、実際の稼働率はどうなのか。事業者や東京都、経産省の担当者に聞いてみたところ……。
2030年までに30万口の充電器を設置――。そんな「国策」を受けてEV充電器のインフラ整備ビジネスが盛り上がっている。そこで独特の存在感を放っているのが、Terra Charge(テラチャージ)社だ。
同社はもともと、2010年に創業してインドやフィリピンなどグローバルで電動スクーターなどのEV事業を展開してきたテラモーターズが2022年に立ち上げたEV充電インフラ事業だった。しかし、国内のEV充電インフラ事業に注力しようということで2024年2月、社名をテラモーターズからテラチャージに変更したのだ。
そんなテラチャージがなぜ業界で注目を集めているのかというと、「完全無料」を打ち出しているからだ。
「設置・運用にかかる費用は完全無料で、EV充電器を設置するプランをご用意しております。補助金申請代行から、設置工事、運用管理・メンテナンスも全てテラチャージが担います」(テラチャージ公式Webサイトより)
商業施設やホテル・旅館などからすれば、こんなにありがたい話はない。ということで、同社の公式Webサイトによれば機械式駐車場、賃貸マンション、公共施設などに続々と設置が進んでいる。
例えば、6月3日には「コジマ×ビックカメラ 足立加平店」が急速充電器のサービスを開始したが、これは「急速充電器の無料設置」を全国で進めるテラチャージの第1号基だという。
では、なぜ同社は「完全無料」というかなり攻めた売り方ができるのかというと、「国の補助金」である。経産省はEVインフラ整備のためにこれまで多くの補助金を出してきているが、ここにきてさらにその流れを加速させている。2024年度分はなんと前年度予算(175億円)の倍となる360億円を補助金に充てる方針を固めているのだ。
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