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リテールメディアは“何が”強みなのか? マーケティングに与えるインパクトとは(2/3 ページ)
マーケティング手段として徐々に実装が進むリテールメディア。小売りではなく、メーカーにとってのメリットとは?
机上の空論ではないアプローチが可能に
続いて「店頭体験の創出」という観点からマーケティングにもたらすインパクトを解説します。リテールメディアは大きく分けると以下の3つに分類できます。
リテールメディアの3分類
- オフサイトメディア:リテーラーの1st partyデータをもとに接続する広告ネットワーク・外部ウェブサイト
- オンサイトメディア:リテーラーが自社展開するウェブサイト・アプリ・SNS・ECネットスーパー上に設定された広告タッチポイント
- フロントメディア(インストアメディア):来店者が店舗に入店してから会計・退店するまでの経路に設置された広告タッチポイント。サイネージ・店頭メディア
上記3つのうち、フロントメディアが店頭体験創出への重要なキーであり、「リテールメディア3.0」の概念でも重視されています。フロントメディアは消費者の購買意向が高まったタイミングでメッセージを届けられるという特徴を持ったメディアです。消費者の行動を邪魔する要素を最小限にして施策を展開、体験創出へとつなげられるわけです。
フロントメディアにおける体験創出の手段として、北米で重視されているのはサンプリング(商品・ノベルティーなどの無償提供)です。これまでほとんどのサンプリングは、マーケティングファネルでいうところの「比較検討」から「購入」へと移行するプロセスにおいて、明確な実証性をもってアプローチできる手段ではありませんでした。いわば“バラマキ”に近い状態だったといえます。
フロントメディアなら、消費者に自社商品を選んでもらうことにつながる施策を、実購買データという根拠を持って実行できるようになります。加えてサンプリングを手にした来店者が、その後もその商品を使い続けているかという検証も可能になります。この点が、これまでイベントや商業施設などで行われていたサンプリング施策との大きな違いといえるでしょう。
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