なぜ「うなぎビジネス」が盛況なのか “うなぎのぼり”が続きそうな3つの理由と大きな不安:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
「うなぎビジネス」の評価が“うなぎ上り”だ。これまでの高級食パン専門店ブームなどとは異なる道をたどりそうな予感がするが、なぜそう思うかというと……。
なぜ「うなぎビジネス」は逆境に強いのか
加えて、「うなぎビジネス」が逆境に強いのは(2)の「値下げ圧力に強い」こともある。基本的にうなぎはそれなりの価格がする。スーパーでも国産うなぎは小さなものでも2000円とか平気でするし、最近は円安もあって中国産のうなぎであってもバカにならない価格だ。
つまり、「うなぎ=安くない」という図式が一般消費者にも刷り込まれているので、似たような店が乱立してカニバリが始まった時に、その苦境にトドメをさす「他店はもっと安かった」「値上げするなんて客をナメてるのか」というバッシングが生まれにくいのだ。
ステーキはスーパーや激安飲食店に行けば、驚くほどの低価格で売られている。ステーキチェーンが値上げをすると、SNSで不祥事企業のようにボロカスにたたかれるという悪循環があった。もともと「安さ」を売りにしていたので、そこに魅力を感じていた人からすれば、詐欺にあったように怒りを感じるのだ。そして、客離れが起きてしまう。
これはマクドナルドを思い出していただければ分かりやすい。かつて「安さ」を売りにしていた同店では、価格改定で50円や80円という値上げだけでも「もう行きません、さようなら」「高級化路線だ。貧乏人は死ねということか!」というヒステリックな批判を受けて、メディアや専門家からは「マックが値上げで客離れ!」と大騒ぎされたものだ。
「安さ」を前面に出してファンができたブランドは、「安さ」から卒業をしてもファンがそれを許さないのだ。そしてファンはこれまで応援してきたのに裏切られたと感じて、猛烈なアンチへ豹変(ひょうへん)することが外食チェーンなどではよくある。しかし、鰻の成瀬はもともとそれほど安くないので、そういう問題と無縁だ。
梅1600円、竹2200円、松2600円という価格は、本格的なうなぎ店に比べれば半額程度である。しかし、もともと、うな重にこれだけの価格を払えるような客層は仮に1600円が1800円に上がっても「貧乏人を切り捨てるのか!」とはなりにくい。つまり、それほど「客離れ」しない。
このような「値下げ圧力に強い」ということを考えれば、鰻の成瀬が衰退していったチェーン店と同じ道をたどるとも言えないのではないか。
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