なぜ「うなぎビジネス」が盛況なのか “うなぎのぼり”が続きそうな3つの理由と大きな不安:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
「うなぎビジネス」の評価が“うなぎ上り”だ。これまでの高級食パン専門店ブームなどとは異なる道をたどりそうな予感がするが、なぜそう思うかというと……。
「うなぎビジネス」が他とは異なる3つの理由
そう筆者が考えるのには、以下の3つの理由がある。
(1)ブルーオーシャン
(2)値下げ圧力に強い
(3)高齢化
まず鰻の成瀬のように「本格的なうな重」を提供する業態でいえば、「競合」が少ないことがある。
もちろん、今はファミレスや「すき屋」「吉野家」などの牛丼チェーンで、「リーズナブルなうなぎ」を出すところも増えているが、それらを「本格的なうな重」ととらえる消費者は少ないはずだ。「吉野家」など一枚盛1207円で客単価からするとかなり高めの設定にしているが、やはり世間的にはまだ「牛丼屋のうなぎ丼」というイメージが強い。
では、「本格的なうな重」を食べられるのはどこかというと、「うなぎ店」しかないのだが、こちらは高齢化や後継者不足もあってかなり減少している。
例えば、うなぎ店の全国組織である「一般社団法人全国鰻蒲焼商協会」の公式Webサイトを見ると、会員となっているのは全国で49店舗しかない。また、うなぎに関するさまざまな情報を扱い、創刊40年の歴史を誇るフリーぺーパー『うなぎ百選』があるのだが、これを置いているうなぎ店も101店舗しかない。
もちろん、こうした組織に加盟していないうなぎ店も山ほどあるわけだが、他の飲食店と比べると「専門店」の数が少ない印象は否めない。ただ、それは新規参入をするプレーヤーにとっては逆にありがたいことだ。例えば、「本格的なステーキ」で新規参入をする場合は「ロイヤルホスト」「ステーキガスト」「びっくりドンキー」など全国に無数の競合がいる中で、味と安さで勝負をしなければいけない。
そういうレッドオーシャンに比べると、「本格的なうな重」の世界は老舗うなぎ店以外となると、名古屋を中心に展開する「うなぎのうな泰」や関西風の「にょろ助」などそれほど多くはない。なので、パク……ではなく鰻の成瀬をオマージュした「鰻の早瀬」みたいなチェーン店があふれない限りは、それなりに店舗数を拡大できるのだ。
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