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たまにウソつく生成AIに「契約書管理」は無理? 「40年の歴史」持つ言語解析AIが再評価されるワケ万能ではないからこそ(2/5 ページ)

生成AIがビジネスの世界にもたらすインパクトは巨大であるものの、万能ではない。契約書関連の業務をデジタル化するリーガルテック市場では、旧来から磨き上げてきた技術が使われている。

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生成AIの限界と、ルールベース技術の再評価

 Contract Oneは、契約書管理における異なるニーズに対応するため、3つの異なるAI技術を巧みに組み合わせている。それぞれの技術がどのように活用され、どのような課題を解決しているのか、詳しく見ていこう。

 Contract Oneの中核を成すのが、契約書から主要9項目を抽出する機能だ。この機能には、Sansanが長年培ってきた独自のOCRエンジンと手入力による補正を組み合わせた技術が使用されている。

Contract Oneにおいて、デジタル化の最重要項目が主要9項目
Contract Oneにおいて、デジタル化の最重要項目が主要9項目。「AIが読み取って提案」ではダメで、「これで間違いありません」と言い切れることを目指した

 Contract Oneの事業責任者を務める尾花政篤氏によれば、「『契約先名』『契約書タイトル』『契約締結日』『契約開始日』『契約終了日』『解約通知期限日』『自動更新の有無』『自動更新期間』『金額』という9項目は、契約管理の基本となる情報だ。これらを正確に抽出することで、契約の有効期限管理や自動更新の判断、さらには取引先ごとの契約状況の把握が可能になる」という。

 契約書管理SaaSでは、有効期限が迫っていたり更新が必要だったりする契約について、アラートを出して知らせる機能が特徴の1つだ。そのためには、契約終了日や自動更新の有無、自動更新期間などが正しく登録されていることが必要不可欠。この正確性が重要になる。

 契約書の解析では、高い精度が要求される。誤った解析結果は、ビジネス上の重大なリスクにつながりかねない。「AIで導いた項目を『これで合っていますか?』と提示するのではなく、『これで間違いありません』といえるサービスを提供したかった」と尾花氏は語る。

 正確性を求める中では、生成AIではなく伝統的な言語解析AIも活用した。契約書の親子関係を特定する機能だ。

 多くの企業取引では、基本契約書(親契約)と個別契約書(子契約)が存在する。これらの関係を正確に把握することは、契約全体の理解と管理において極めて重要になる。例えば、基本契約に書かれている日付や数字は、覚書などの子契約によって上書きされる。どの子契約がどの親契約と結びついているかは、契約全体を把握するために必須の情報となる。

 通常子契約には「甲乙間で◯年◯月◯日付締結の基本契約取引書の定めに従い……」など関係性を示す文言が入っている。これをAIで把握し、2つの契約に関連があることを登録すればいいわけだが、意外とこれが難しい。

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