セルフレジで客が減る? 欧米で「セルフレジ撤去」の動き、日本はどう捉えるべきか(2/3 ページ)
店舗におけるオペレーションDXは必要不可欠だ。しかし欧米では、セルフレジを撤廃する事例が現れ始めている。その理由を探ると、DXの本質が見えてくる。
セルフレジは買上点数を下げている?
このようなケースが全てにあてはまるわけではありませんが、消費者はセルフレジで「あまり多くの点数の買い物をしたくない」と考えている可能性があります。
スーパーは来店者の生活を幅広く支えるために、食品から日用品まであらゆる商品を取りそろえています。ついで買いなども含め、できるだけ多く商品を買ってもらいたいのに、セルフレジとの相性が合っていない可能性があります。
しかも、セルフレジによって買い物点数を減らすことが常態化してしまうと、コンビニなど他業種への流出につながってしまう可能性もあります。数点だけの買い物であれば、スーパーに行く必要性が薄まってしまうからです。
北米で盛り上がったサービスや手法が数年遅れで日本に導入され、そして廃れ始めたら同じく数年遅れで日本も廃れる――という現象はこれまでにもありました。セルフレジに代表されるオペレーションDXも、同じ道をたどるのでしょうか。
ひとまずは、先達である北米の状況も加味しつつ、自社でも売り上げや来店数などのデータを注視しながら、検証を進めていく段階に入っていくことになると考えています。
うまくいくオペレーションDXとは?
とはいえ、人手不足が叫ばれる中でオペレーションDXの推進は喫緊の課題です。セルフレジの他に、もう1つ考えられるのはキャッシュレス決済です。
キャッシュレスであれば現金の数え間違いや、お釣りの準備といった作業が不要になるため、レジ作業の効率が上がります。また、現金の盗難といったリスクも低減できます。
経産省の調査委によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%にまで上昇しました。PayPayなどスマートフォンを使った決済が一般的になっていますし、小売店の独自アプリも決済機能を備えたものが増えてきています。
しかし、このキャッシュレス決済についても注意が必要です。導入するキャッシュレス決済手段の有効性を検証し、余計なコストが発生しないようにすべきでしょう。あまたある決済手段に全て対応しようとすると、扱うハードの費用やオペレーションの複雑化は見過ごせないコスト増に直結します。立地や客層、利用率、決済手数料を鑑み、戦略的に設定することで、コストを削減できるとともに、決済手数料引き下げの交渉も行いやすくなります。
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