2015年7月27日以前の記事
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セルフレジで客が減る? 欧米で「セルフレジ撤去」の動き、日本はどう捉えるべきか(3/3 ページ)

店舗におけるオペレーションDXは必要不可欠だ。しかし欧米では、セルフレジを撤廃する事例が現れ始めている。その理由を探ると、DXの本質が見えてくる。

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ユーザーセントリックの「ゆっくりレジ」

 オペレーションDXという観点において、キャッシュレス決済とセルフレジには大きな違いがあります。それは「主語が誰か」というものです。キャッシュレス決済はユーザー側にキャッシュレス手段が増え、需要が高まっているためユーザーが主語のDX(ユーザーセントリック)です。一方、セルフレジは小売店側の課題を解消するために推進されているので、小売店主語のDX(リテーラーセントリック)です。

 皆さんは「ゆっくりレジ」というものをご存じでしょうか。その名の通り、会計を焦らずゆっくりしたい来店者のためにつくられたもので、いくつかの小売店が導入しています。

 小売店にはさまざまな来店客が訪れます。性別、年代はもちろん、デジタルリテラシーや習慣もバラバラであり、一概にひとかたまりの「お客さま」として捉えることは難しいわけです。


ホームセンター大手カインズの「ゆっくりレジ」(出所:プレスリリース)

 さまざまな小売店がリテールセントリックでオペレーションDXを推進する一方、ゆっくりレジは来店者の状況に合わせた選択肢を用意するユーザーセントリックの試みです。会計をゆっくりしたい来店者と、時間をかけたくない来店者の会計レーンが別になるわけですから、お互いのストレスも軽減でき、全ての顧客にとってより良い買い物体験を提供できるようになるでしょう。

自社のDXはリテールセントリック? ユーザーセントリック?

 リテールセントリックで進められたオペレーションDXは、北米においては揺り戻しが起きています。先行した北米・欧州ではセルフレジ撤退とする小売店が出始めていますが、日本ではどうなるのか注目されるところです。

 今後、忘れてはならないのはユーザーセントリックです。お客さまにはそれぞれ都合があり、リテラシーもさまざまです。コスト削減や効率化をしっかりと推進しながらも、一人一人の状況に寄り添う選択肢を用意することが、ロイヤリティーを上げる独自性につながるのではないでしょうか。

 次回は、リテールDXにおいてオペレーションDXとならぶマーケティングDXについてお伝えします。

著者プロフィール:松田伊三雄

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カタリナマーケティングジャパン 取締役副社長 Chief Operating Officer

国内大手アルコール飲料メーカー及びグローバル消費財メーカーにて流通企画、ブランディング、営業・戦略部門を統括。国内大手GMS及びCVSのマネジメントも経験、ウォルトディズニージャパンでブランドライセンスによるマーケティングサポートのマネジメントを経て2019年カタリナマーケティングにVPとして入社。CMO、取締役CCOを経て2024年6月より取締役副社長COOとしてリテールメディアエリアを統括。


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