中国製EVが「日本市場で好調」と言い張りたい、本当の理由:高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)
中国製EVが各国市場に進出し、新たな脅威となっている。しかし、安全性や品質の面で、日本では受け入れられないかもしれない。それでも日本に進出する理由は、日本で販売していることを手柄にして、新興国市場でブランドイメージを高められるからだ。
品質問題が表面化するのは2、3年後か
筆者はBYDのEVに試乗したことがあるが、ATTO3はEPS(電動パワーステアリング)は「まだまだ」と感じたものの、ブレーキやアクセルの制御はよく練り込まれており、ボディや足回りの剛性感も十分に高い。走りの性能面では申し分ない印象だった。
ただしインテリアに使われている樹脂部品は質感や剛性感がいまひとつで、劣化により快適性にも影響が出そうだと感じた。
クルマの品質は3〜4年も使用していれば、信頼性や部品の耐久性がどれほどのものか、自ずと見えてくる。
日本のユーザーは長く日本車ばかり乗ってきて、車検の時にディーラーに出すだけでメンテナンスの必要はないと思い込んでいる人も多い。そのため購入後5年くらいはほとんどメンテナンスフリーで、大きな出費を伴うことなく乗り続けられる感覚がある。
この日本ならではの目の肥えた(?)ユーザー感覚に対応できなければ、日本市場では伸び悩むことは必至だろう。
新車には製品保証が付けられているが、家電製品同様、日本と中国では保証に対する考え方がまったくと言っていいほど違う。日本は壊れないことを保証するのに対し、中国は壊れたら補償するという姿勢だ。
家電であれば新品に交換すれば済むのかもしれないが、クルマの場合、生命を左右しかねないだけに安易な気持ちで購入することは難しい。故障で立ち往生したり、修理代金が高額になったりすれば、途端にそのブランドには嫌気が差すものだ。
日本の自動車メーカーが生産するEVで、発火事故はほとんど聞いたことがない。それはバッテリーの生産工程からこれ以上ないほど品質を高め、製品を送り出しているからだ。
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